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3D細胞培養用TrueGel3D®ハイドロゲル

はじめに

TrueGel3D®の特徴と利点

プロトコルおよびサポート

TrueGel3D®のしくみ

TrueGel3D®システムの使用方法

アプリケーションに適したTrueGel3D®キットの選び方

化学的な特徴

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はじめに

TrueGel3D®は、生化学的組成が明らかなハイドロゲルです。ポリマーとクロスリンカーを混合するとゲルが形成されます。動物細胞(例えばマウスEHS腫瘍細胞)から抽出した成分を含む他のハイドロゲルと比べて、TrueGel3D®は動物由来成分を含まないため、実験結果の分析を妨げたり、細胞を汚染したりしません。さらに、TrueGel3D®に含まれるコンポーネントは生存性を保持し、天然の細胞外マトリックス(ECM)の重要な機能を模倣することができます。これにより、細胞の接着や移動をサポートすることで、組織内と同様の生来の細胞環境が再現されます。TrueGel3D®テクノロジーは、3D環境での細胞の形態学的および生理学的特性を調べるためのツールとして有用です。そして、これらのハイドロゲルは細胞を固定することにより、従来の平面的な培養条件よりも、生来の組織内の環境に近い立体的な環境下での増殖を可能にします。

TrueGel3D®の特徴と利点

  • TrueGel3D®はMDCK細胞、上皮細胞、線維芽細胞、癌細胞、リンパ球を含む初代細胞、間質細胞および胚性心筋細胞など多くの細胞種で実績があります。
  • TrueGel3D®のベースコンポーネント(デキストラン、PVA、PEG)が形成するハイドロゲルによる足場は、細胞に影響を与えません。
  • ゲルは透明で観察しやすい特長があります。
  • 多様なアプリケーションをサポートするため、ゲルの固まる速さが異なる複数のTrueGel3D®キットをご用意しています(表2をご参照ください)。
  • 細胞に影響を及ぼさずに回収するためのオプション

もっとも重要な点は、組成が明らかなTrueGel3D®に対して、複数のECM成分と成長因子の混合物から成る動物細胞由来の基底膜抽出物は、生来と異なる環境を作り出してしまうため細胞に影響を及ぼす可能性があるということです。

プロトコルおよびサポート

  • プロトコル1: TrueGel3D®ハイドロゲル、細胞分解性(CD)クロスリンカーおよびRGDペプチドの調製(TRUE1)
  • プロトコル2: 速く固まるハイドロゲルの調製(TRUE2-TRUE5)
  • プロトコル3: ゆっくり固まるハイドロゲルの調製(TRUE6-TRUE9)
  • ハイドロゲルを最適化するためのより高度なプロトコル

アプリケーションノート

  • MDCK細胞のシスト形成のアプリケーションノート
  • 線維芽細胞の分散培養
  • 腫瘍細胞と間質細胞の共培養
  • ビデオ:拍動する心筋細胞

TrueGel3D®のしくみ

TrueGel3D®テクノロジーは、次の4つのコンポーネントで構成されています。

  • TrueGel3D®ポリマー:ポリビニルアルコール(PVA)またはデキストラン
  • クロスリンカー:クロスリンカーは両端にあるチオール基でポリマー上のチオール反応基と結合します。そうすることでポリマー鎖を連結し、ゲルを形成します。2種類のクロスリンカー(1)ポリエチレングリコール(PEG)もしくは(2)シクロデキストリン(CD)より選べます。
  • 接着因子:マトリックスへの細胞接着が必要な場合、TrueGel3D® Arg-Gly-Asp(RGD)インテグリン接着ペプチド様の接着配列を含むペプチドをゲルに加えることができます。細胞外マトリックスタンパク質(例えば、フィブロネクチン、ラミニン)、ペプチド、ヘパラン硫酸または成長因子(キットに含まれません)など他の生理活性物質の添加も可能です。
  • 用意していただく細胞(キットには含まれません)
TrueGel3D®テクノロジー

図1.TrueGel3D®テクノロジー

TrueGel3D®システムの使用方法

TrueGel3D®プロトコルの流れ

図2.TrueGel3D®プロトコルの流れ

アプリケーションに適したTrueGel3D®キットの選び方

表1TrueGel3D®のセレクションガイド
  • 予め最適化されたキットが使えますか?それともカスタマイズする必要がありますか?

    スフェロイド形成や共培養モデルのような多くのアプリケーションでは、予め最適化されたキット(TrueGel3D® hydrogel, CD cell-degradable crosslinker and RGD peptide カタログ番号TRUE1-1KT)をご用意しています。このハイドロゲルは、細胞接着部位の濃度が明らかで、細胞の拡散や移動が可能であり、TrueGel3D®酵素細胞回収液(カタログ番号 TRUEENZ-500UL)を使用して細胞回収を行うことができます。ゲルは約20分で中程度の硬さに固まります。

ゲル環境を最適化(例えば、硬さ、接着分子、ECMタンパク質を変更)する必要がある場合は、表1のその他のTrueGel3D®キットをご利用できます。

  • アプリケーションに適したゲル化時間は?

*括弧内に示す時間のあいだは、すべてのコンポーネントを液体の状態で混合することが可能です。この時間を過ぎると、ゲル化が始まり、ピペット操作できなくなります。

**アプリケーション別に推奨されるゲルの詳細は、表2をご参照ください。

予め最適化されたキットでゲルの固まる速度が中程度のキットは、TrueGel3D®ハイドロゲル、細胞分解性(CD)クロスリンカーおよびRGDペプチド(カタログ番号No.TRUE1-1KT)のみです。ゲルの固まる速度が速いおよびゆっくりのキットについては表1をご覧ください。

  • 接着因子を添加する必要はありますか?

    顕微鏡検査用の細胞または組織の固定化などのアプリケーションでは、TruGel3D®キットに追加のオプションなしで使用できます。細胞の接着と拡散にはTrueGel3D® RGDペプチドが必要です(CD分解性クロスリンカーの存在も細胞の拡散に必要です)。  また、成長因子*、ヘパリンまたはECMタンパク質(例えば、フィブロネクチンまたはコラーゲン)などの他の細胞成分をハイドロゲルに加えることもできます。
    *成分によってゲル内に留まらない物質がありますので、その場合は培地に添加する必要があります。

  • その後の分析や培養のために細胞を回収する必要がありますか?

    TrueGel3D®ゲル内で3D培養した後に、細胞を回収したい場合はデキストランベースの製品がおすすめです。デキストランベースのポリマーで形成したTrueGel3D®ゲルは専用の酵素で分解可能です(詳しくは高度なプロトコルをご参照ください)。PVAベースのポリマーで形成したTrueGel3D®ゲルから細胞を取り出すことはできません。

  • 細胞分解性ハイドロゲルが必要なアプリケーションですか?

    細胞の拡散や運動性の研究には、細胞分解性環境が必要です。CD細胞分解性クロスリンカーを含むTrueGel3D®キットをご用意しています。CD細胞分解性クロスリンカーは、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)による切断部位を持つペプチド配列*を含んでいます。クロスリンカーを切断することにより、RGDインテグリン接着ペプチドのような細胞接着物質を含むハイドロゲル内を細胞が移動できるようになります。

    *すべてのMMPがCDリンクを切断するとは示されていません。CD-Linkは、Pro-Leu-Gly-Leu-Trp-Alaの配列を含み、少なくともMMP1、MMP3、MMP7およびMMP9によって切断されることが知られています。
表2アプリケーションによるキットのセレクションガイド

*オプションとして別売のTrueGel3D® RGD adhesion peptideの添加が必要

化学的な特徴

特性の異なるポリマーとクロスリンカーにより、ゲルの要件に合ったオプションを提供します。

TrueGel3D®ハイドロゲルシステムは、合成された非分解性ポリビニルアルコール(PVA)または酵素分解性デキストランの2種類のポリマーのいずれかを使用します。どちらのポリマーも、速いチオール反応性基または遅いチオール反応性基のいずれかの官能基が付加されています。

  • 速いチオール反応性基は数分以内にハイドロゲルが形成され、
  • 遅いチオール反応性基はそれよりゆっくりハイドロゲルが形成されます。

ポリマー(PVAおよびデキストラン)は不活性で細胞に接着しません。ただし、接着ペプチドや細胞外マトリックスなどの生理活性物質と結合することで、細胞とポリマーの接着を可能にし、生理的条件を模倣することができます。

TrueGel3D®のクロスリンカーも2種類あります。PEG非細胞分解性クロスリンカーは各末端にチオール(SH)基を有するポリエチレングリコールで構成されています。CD細胞分解性クロスリンカーはPEG非細胞分解性クロスリンカーに類似していますが、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)による切断部位を持つペプチド配列を含んでいます。CD細胞分解性クロスリンカーおよび細胞接着分子を含むゲルである場合、CDクロスリンカー上のMMP切断部位を切断することで、細胞の拡散と移動が可能になります。

ゲル化時間に影響を及ぼす因子:

チオール基(クロスリンカー上)とチオール反応性基(ポリマー上)の等モル濃度(1.8mmol/Lから開始)で最良なゲル形成が生じます。より高濃度のチオール基とチオール反応性基を用いてより堅いゲルを形成することができます。

反応速度は水素イオン濃度(pH)によって制御されます。より低いpH(酸性環境)では、脱プロトン化チオレートアニオンはチオール反応性基とゆっくりと反応し、ポリマーとクロスリンカー間のネットワーク形成が遅くなります。キット中のバッファー溶液(pH5.5および7.2)を混合して、ゲル化時間の最適化を助けるために中間のpHを生成することができます。どちらのバッファーもpHを容易にモニターするためにフェノールレッドを含んでいます。

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