哺乳類細胞培養
哺乳類細胞の培養は、研究、臨床および製薬用途において重要なツールです。動物組織から分離した細胞は、細胞生物学および疾患研究用に培養で増殖可能で、さらに抗体、タンパク質およびワクチン製造に使用できます。不死化した哺乳類細胞株は、in vitroで長期間増殖が可能で、複雑な生物学に対する単純なモデルとして広く使用されています。
哺乳類細胞のin vitroでの増殖
細胞の増殖には、糖類、アミノ酸、アルブミン、ビタミン類、無機質および成長因子など、複雑な栄養素の混合物が必要です。細胞培養用培地は、哺乳類細胞のin vitro培養に必須なこれらの栄養素を供給します。哺乳類細胞培養は、最適温度(37℃)と、pHを哺乳類の血液と同様なレベルに維持する5% CO2にした無菌環境のインキュベーター内で増殖させます。
浮遊させて培養できる特定の血液細胞を除いて、哺乳類組織に由来するほとんどの細胞は、適切に細胞分裂して増殖するために表面に接着する必要があります。細胞培養用のポリスチレン又はガラス製のフラスコ、プレートおよびフィルターは、細胞が接着できように設計され、その表面が処理されています。接着用の足場を提供するポリ-D-リジン(PDL)などの合成ポリマーや、コラーゲンなどの細胞外マトリックスタンパク質を用いることで、細胞接着を促進できます。
哺乳類細胞培養における技術
in vitroでの細胞増殖では、コンタミネーションを防ぐために無菌技術が使用されます。哺乳類細胞の培養には、細胞の健康と増殖のため継代接種または継代培養が必要です。継代とは、コンフルエントに達した細胞を希釈し、枯渇した培養液を交換することです。付着細胞の継代培養では、まず細胞を培養器表面から剥がす必要があります。トリプシン処理などの酵素的方法、またはスクレーパーなどによる機械的方法を使用して剥離させ、新たな培養フラスコやプレートに細胞を移して、再度接着させます。血球盤や自動セルカウンターを用いた細胞計測法によって、細胞生存率を評価し、継代培養用の接種密度や、下流工程に適した細胞密度の決定に役立てます。培養した細胞は液体窒素中で保管することで凍結保存が可能です。またワーキングストックが再び必要になれば、この凍結シードストックから解凍して使用できます。
関連技術資料
- ラミニン、コラーゲン、フィブロネクチンなどの細胞外基質タンパク質は細胞培養の際の接着基質として使用されます。
- 微生物死滅曲線は、哺乳類細胞に対し選択抗生物質のばく露量を増やしていく用量反応実験です。
- ここでは、細胞死の原因と、それらの原因を評価および予防する方法について説明します。
- 細胞株のクロスコンタミネーションと誤認は、認証と入念なソーシングによって解決できます。
- 細胞培養でよく見られる問題:コンタミネーションは、細胞培養を行っているラボで最もよく見られる問題で、非常に深刻な結果を引き起こすことがあります。
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関連プロトコル
- ゼラチンコーティング プロトコル、製品、FAQ
- 無菌環境を維持し、コンタミネーションを予防するための細胞培養プロトコルECACCハンドブックをダウンロード(無料)
- SigmaのDMSOなどの試薬を用いて、高い生存率で細胞株を凍結保存するためのプロトコル。凍結保存は、細胞を凍結し、数か月または数年後に解凍するまで細胞を保存する方法です。ECACC handbookの無料ダウンロード。
- 凍結保存細胞株を適切に解凍するための細胞培養プロトコル
- 天然トリプシンインヒビターはセリンプロテアーゼ阻害剤(セルピン)としても知られ、プロテアーゼ阻害剤の中で最も種類が多い最大のファミリーです。セルピンはin vivoでセリンプロテアーゼを阻害することでタンパク質の活性および異化をコントロールします。
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