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Merck

基礎培地・バッファー

細胞培養培地の組成には、DMEM、RPMI、MEM、199培地およびハムなどがあります。

細胞培養培地のバリエーションは、多様な哺乳類細胞の生理学的に関連した培養環境に対するニーズに合うように改良されてきました。これらの培地および塩類は、その成分と共に、さまざまな細胞培養アプリケーション用に試験済であり、私たちの最先端の施設で製造されています。グルコース濃度、L-グルタミンまたは安定グルタミンの補充、フェノールレッドpH指示薬の含有、粉末または液体などのパラメータに基づいて、アプリケーションに適した培地をお選びください。 



DMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)

DMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)は、多くの付着細胞に最も幅広く適した細胞および組織培養用合成培地です。ダルベッコ改変培地は、一部のアミノ酸とビタミン含量が元のイーグル培地の最大4倍に増量されるように添加剤が強化された培地です。私たちの製品には、さまざまなグルコース濃度に加えて、L-グルタミン含有および不含の組成もあります。エストロゲン感受性アプリケーション用にpH指示薬のフェノールレッドを含まない製品、すぐに使える便利な液体培地や、保管が簡単で使用期限の長い経済的な粉末培地など、幅広く取り揃えています。 

RPMI 1640培地

Roswell Park instituteのMooreらにより開発され、施設名にちなんで名付けられたRPMI 1640培地は、リンパ球や血液細胞などの浮遊細胞の培養に最適化されています。その組成は、一連の重炭酸緩衝系のRPMI 1630培地をもとに、アミノ酸とビタミンの含量が改変されています。RPMI 1640培地は、正常および腫瘍性のヒト白血球の培養に用いられています。この組成は、適切な添加物を加えると、72時間フィトヘマグルチニン(PHA)刺激アッセイにおける新鮮なヒト白血球を含む、多くの培養細胞の増殖を支持することから、幅広い適用性が示されています。

フェノールレッド含有細胞培養用培地

DMEM/F12培地

近年、血清の代わりに栄養素、成長因子およびホルモンを添加した無血清培地におけるさまざまな細胞株の培養が報告されています。Mather and Sato(BBRC, 1985)は、インスリン、トランスフェリン、上皮成長因子、黄体形成ホルモンまたは卵胞刺激ホルモン、ソマトメジンおよび成長ホルモンを含む無血清培地でライディッヒ細胞とセルトリ細胞の培養に成功したと報告しました。ホルモンの種類とその濃度は、調べた細胞の種類に特異的でしたが、これらの研究において最適であった培地は、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)と栄養混合物F-12ハムを1:1で混合したものでした。血清の除去による緩衝機能の低下を補うために、組成にHEPES緩衝液を終濃度15 mMで添加することができます。

Stericup®フィルターデバイスでろ過滅菌される細胞培養培地

MEM(最小必須培地)

NIHのHarry Eagleにより開発された最小必須培地(MEM)には、多くの動物種に普遍的な必須アミノ酸が含まれています。MEMは最も広く用いられている細胞培養用合成培地のひとつです。正常な哺乳類線維芽細胞と特定のHeLa細胞サブクローンを培養する初期の試みにおいて、これらの細胞にはイーグル基礎培地(BME)で不足している特定の栄養が必要であることを明らかにしました。これらの培養細胞とその他の培養細胞を用いた後続研究から、BMEに添加剤を加えることにより、培養が難しいより多くの細胞の増殖が可能になることが示されました。これらの改変を組み入れたMEMには高濃度のアミノ酸が含まれることから、この培地は哺乳類細胞のタンパク質組成により近いものになりました。

MEMは、幅広い細胞の単層培養で用いられています。Hanks塩またはEarle塩を用いた組成に、オプションで非必須アミノ酸を添加すると、この培地の有用性が広がります。浮遊培養での細胞増殖を可能にするために、MEMの組成は、さらにオプションでカルシウムを含まないように改変されています。

F-10およびF-12ハム培地

ハム栄養混合物は、元々チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞のいくつかのクローンに加えてHeLa細胞およびマウスL細胞のクローンの増殖用に開発されましたが、肝細胞の培養、ウイルス融合および毒性アッセイにも適しています。これらの混合物は、培養する細胞の種類によって、血清添加または非添加で使用する組成になっています。

  • ハムF-10は、ヒトの二倍体細胞および白血球ならびにラット、ウサギおよびニワトリの組織の初代外植体の増殖を支持することが示されています。
  • ハムF-12は、ラット初代肝細胞およびラット前立腺上皮細胞の増殖に用いられています。CHO細胞を用いるクローン毒性アッセイでは、より効率よく最適pHを7.2~7.4に緩衝するために25 mM HEPESを添加したハムF-12も用いられます。
  • Coon改変ハムF-12は、ウイルス融合で作製されたハイブリッド細胞用に開発されました。この改変により、アミノ酸およびピルビン酸が元の2倍に増量され、さらにアスコルビン酸が添加されて、塩濃度が調整されています。Coonの組成には、0.863 mg/L硫酸亜鉛が含まれるため、マウスL細胞の培養には適しません。
  • Kaighn改変ハムF-12(別名ハムF-12K)は、一部のアミノ酸とピルビン酸の濃度が増加され、塩濃度が調整されています(Konigsbergの組成)。この培地は、ラットおよびニワトリの分化細胞ならびに初代ヒト肝細胞の増殖を支持するために設計されました。

199培地(M199)

初期の組織培養培地は、主として動物製品および/または組織抽出物から作られたものでした。1950年、Morganらにより栄養素の起源が厳密に明らかにされた細胞培養用培地を作る試みが報告されました。ビタミン、アミノ酸およびその他の因子をさまざまに組み合わせて実施した彼らの実験により、199培地(M199)として知られることになる培地中で外植体組織の増殖が観察されました。現在、この培地は、ウイルス学、ワクチン製造、初代外植体組織の培養ならびにマウス膵臓上皮組織およびラット水晶体組織のin vitro培養で広く用いられています。

研究者らは最終的に、細胞を長期間培養するためには、培養液に血清を添加する必要があることを明らかにしました。適切に添加物が加えられた199培地は、幅広い動物種の細胞、特に形質転換していない細胞の培養への適用性に優れています。

細胞培養用基礎塩類

D-PBSハンクス塩アール塩タイロード塩―あらゆる用途に使える平衡塩類の最も完璧なコレクションから、お客様のアプリケーションに合った組成を見つけてください。

その他の従来の細胞培養培地

エイムス培地およびイスコフ改変培地に加えて、クリック培地、L-15培地、マッコイ培地、NCTC培地などの特殊培地を見つけてください。



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