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最小必須培地（MEM）

ハリー・イーグルにより開発された最小必須培地（MEM）は、合成細胞培養培地の中で最も幅広く用いられている培地のひとつです。正常な哺乳類線維芽細胞と特定のHeLa細胞サブタイプを培養する初期の試みにおいて、これらの細胞にはイーグル基礎培地（BME）で不足している特定の栄養が必要であることを明らかにしました。これらの培養細胞とその他の培養細胞を用いた後続研究から、BMEに添加剤を加えることにより、培養が難しいより多くの細胞の増殖が可能になることが示されました。

これらの改変を組み入れたMEMには高濃度のアミノ酸が含まれることから、この培地は哺乳類細胞のタンパク質組成により近いものになりました。MEMには通常、約4～5 mM濃度のグルコースが含まれています。MEMには、細胞の増殖をサポートするビタミンやミネラルなどの必須栄養素も含まれますが、タンパク質、脂質、成長因子など、特定の重要な成分は含まれません。細胞の増殖や生存をサポートするウシ胎児血清（FBS）の添加が必要となる場合もあります。

MEMは、体液に近く調製されており、幅広い細胞の単層培養で用いられています。Hanks塩またはEarle塩を用いたMEMにオプションで添加すると、この培地の有用性が広がります。浮遊培養での細胞増殖を可能にするために、MEMの組成は、さらにオプションでカルシウムを含まないように改変されています。

MEMは組織工学、創薬および細胞生物学を含む科学的研究の多くの分野において重要なツールです。比較的安価で使いやすいため、細胞培養に広く用いられており、さまざまな細胞種の増殖をサポートすることが明らかになっています。

MEM vs. DMEM：細胞培養培地の違いを理解する

MEM vs. DMEM：細胞培養培地の違いを理解する

MEMとDMEMは2つともよく用いられる細胞培養培地ですが、重要な違いは栄養素の組成にあります。DMEM（ダルベッコ改変イーグル培地）のほうが特定の細胞種の増殖・維持をサポートするアミノ酸とビタミンの濃度が高く、より複雑な培地になります。DMEMでは細胞の増殖は速く、培地の枯渇はゆっくりと進みます。

MEMは培養細胞の増殖に必要な最低濃度の栄養素で構成される細胞培養用の基礎培地です。2つの培地はいずれも広く用いられますが、培養の対象となる細胞の特定のニーズに基づき、適切な培地を選択することが重要です。

関連製品分野

ウシ胎児血清（FBS）

ウシ胎児血清（FBS、別名FCS）は、哺乳類細胞の培養において最も重要な添加剤のひとつです。記載された要件とアプリケーションの特異性に基づいて、FBSグレードをお選びください。

細胞培養用添加剤

組成の明らかな培地を、細胞培養用添加剤を用いてカスタマイズし、無血清培地が求められる特定のアプリケーションに対応します。私たちの細胞培養グレードの添加剤には、ITSサプリメント、アミノ酸、ビタミン、抗生物質ならびにハイブリドーマおよび昆虫細胞の培養試験済み試薬が含まれます。

血清

FBS、その他ウシ血清、ヒト血清およびさまざまな動物由来血清を含む細胞培養用血清は、原産国証明付きで、厳格な汚染物質スクリーニングと培養性能検査により品質管理されています。

ホルモン

一部のホルモンは、細胞の増殖促進作用を有しています。基本的な、細胞培養グレードのホルモン添加剤には、デキサメタゾン、エリスロポエチン、β-エストラジオール、グルカゴン、ヒドロコルチゾン、インスリン、プロゲステロンおよびプロスタグランジンE1 & E2が含まれます。

哺乳類細胞株

ヒトなどの哺乳類細胞株は、疾患および生体系のモデリングに不可欠であり、タンパク質、抗体、ウイルス、ワクチンの製造に重要なツールです。私たちは、汚染物質フリーの試験済みの細胞株を提供しており、その多くはECACCとの提携により入手できたものです。

初代細胞

生きた組織から直接採取された初代細胞は、その生物の生理プロセスを非常によく再現します。私たちは、薬物スクリーニングおよびADME/Tox試験に必要な血液、がん患者由来異種移植片および肝細胞のコレクションを取り揃えています。

幹細胞

幹細胞株ならびに分化および成熟用培地を含む、全種類の試験済みES細胞およびiPS細胞製品は、多能性幹細胞の信頼性の高い培養のための簡便でコストパフォーマンスの高いソリューションを幹細胞研究者に提供します。

Stericup^® 吸引ろ過フィルター

定番のStericup^®フィルターおよびサステナブルなStericup^® Eフィルターは、細胞培養培地を保護するための一体型の培地ろ過デバイスです。高流束、タンパク質低吸着性、マイコプラズマ除去およびプラスチック廃棄物低減などの目的に合わせて、フィルター材質と孔径をお選びください。