二次抗体の選び方
- 一次抗体は何の動物種で作られているか?
二次抗体は一次抗体の動物種に対する抗体です。そのため、一次抗体の宿主動物種とは異なる動物種で産生された二次抗体を使用する必要があります。例えば、マウスで産生された一次抗体を使用している場合は、ヤギやウサギなどから産生された抗マウス二次抗体を使用します。
- 一次抗体のクラス(アイソタイプ)および/またはサブクラスは何か?
一次抗体がモノクローナル抗体の場合に重要なポイントになります。一次抗体がポリクローナル抗体の場合、抗体のイムノグロブリンクラスは一般的にIgGのため、二次抗体はIgGに対する抗体で問題ありません。
モノクローナル抗体はほとんどの場合にマウスで産生され、場合によってはラット、ハムスター、またはウサギでも産生されます。例えば、一次抗体がモノクローナル抗体でマウスIgMの場合、二次抗体はマウスIgMに対応する抗体を用います(抗マウスIgM)。
一次抗体のモノクローナル抗体がマウスIgGサブクラスのいずれかの場合は、ほとんどすべての抗マウスIgG二次抗体が結合すると考えられます。マウスIgGのサブクラスが不明の場合は、ほとんどのマウスイムノグロブリンのサブクラスを認識する抗マウスIgG F(ab)二次抗体を使用できます。
ヒトやマウスのIgGは多くのクラスやサブクラスがあり、二次抗体の選択が複雑になることがあります。ただし、これらのIgGは、軽鎖(κおよびλ)であるという点で共通しています。つまり、IgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEはすべて、κまたはλ軽鎖を持ちます。一方、重鎖はクラスによって特異的に異なります。
イムノグロブリンのクラスとサブクラスの概要:
イムノグロブリンのクラス:IgG、IgM、IgA、IgE、IgD
ヒトイムノグロブリンのサブクラス:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2
マウスイムノグロブリンのサブクラス:IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3
軽鎖:κ、λ
重鎖:IgG(γ)、IgM(μ)、IgA(α)、IgD(δ)、IgE(ε)
抗体の反応性に関する追加情報:
Polyvalent: すべてのクラスと反応
Anti-Fc and heavy-chain specific: 重鎖のみと反応するため、クラス特異的。
Anti-Fab and whole molecule specific: 重鎖および軽鎖と反応。軽鎖の反応性によって、すべてのクラスと反応できる。
Light chain (kappa, lambda) specific:すべてのクラスと反応する。
- アフィニティ精製された二次抗体とIgGフラクション(イムノグロブリン精製)の二次抗体のどちらが良いか?
アフィニティ精製された抗体と IgG フラクション抗体のどちらにも利点があり、目的に応じて使い分けられています。非特異的反応を少なくしたい場合はアフィニティ精製された二次抗体が好まれます。一方で、対象の抗原がほとんどない、または少量の場合などは、IgGフラクションが優れていることがあります。このような場合には、親和性の高い抗体が必要です。例えば、アフィニティ分離の際に、親和性が非常に高い抗体は、アフィニティーマトリックスと強固に結合してしまい、溶出することができないために除去されてしまうことがあります。
- どの標識を選べば良いか?
標識は行うアプリケーションによって選ぶ必要があります。イムノブロットやELISAでは、酵素標識二次抗体が最も一般的です。ペルオキシダーゼは一般的にはアルカリホスファターゼより経済的かつ安定的な酵素で、化学発光法の検出システムにもよく用いられています。一方で、アルカリホスファターゼは、特に比色法の検出を用いる場合にペルオキシダーゼより感度が良いという特徴があります。
細胞や組織の染色には、アルカリホスファターゼやペルオキシダーゼ、あるいは蛍光色素を標識した二次抗体が用いられます。一般的な蛍光色素にはFITC、フィコエリスリン、CF™、Atto™、Quantum Red™などがあります。免疫細胞染色法/免疫蛍光染色法、フローサイトメトリー、免疫組織染色法などのアプリケーションで使用されます。
また、ビオチン/アビジンによる2ステップのシステムは検出の増幅に用いられることがあります。ビオチンはアビジンと非常に高い親和性で結合するため、相互作用は実質的に不可逆です。この性質を利用して、まずビオチン標識した二次抗体を用い、次にアビジン(ExtrAvidin™またはストレプトアビジン)が結合した酵素または蛍光色素を加えます。ビオチン標識した二次抗体に複数結合することにより、シグナルが増幅されて、抗体-酵素結合または抗体-蛍光色素結合単独よりも高い感度が得られます。
- 吸収処理済み(pre-adsorbed)二次抗体はいつ必要か?
吸収処理済み(pre-adsorbed)抗体を使用すると、細胞や組織と作用するときに非特異的なバックグラウンドが抑えられます。吸収処理とは、交差反応が生じる可能性のある動物種由来の固定化された血清タンパク質に二次抗体を通過させて、非特異的な反応を起こさないようにすることです。そのため、ヒトの組織を使用する場合はヒト血清やヒトIgGで吸収処理した二次抗体など、使用するサンプルで吸収処理した二次抗体を選択してください。
- F(ab)やF(ab’)2フラグメント抗体はいつ必要ですか?
Fc受容体を持つ組織や細胞を使用する場合は、非特異的な結合を抑えるために、できればF(ab)またはF(ab')2フラグメントを選択してください。 例えば、Fc領域が存在することで問題が生じる可能性のある測定系にF(ab')2フラグメント抗体を使用します。サンプルとしてリンパ節、脾臓、末梢血から得たものはFc受容体を有する細胞(マクロファージ、Bリンパ球、ナチュラルキラー細胞)を含み、抗体のFc領域に結合することで高いバックグラウンド染色が生じます。F(ab')2フラグメントの使用により、観察されるすべての抗体結合はFc受容体によらない結合になります。
- 二次抗体の製品名の見方
抗ヤギIgG(H+L)吸収処理済みロバ産生CF™ 568標識済み抗体
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