タンパク質染色色素と染色液の選択チャート
タンパク質分析法は多様なため、幅広い種類のタンパク質可視化(染色)試薬が必要です。EZBlue™とProteoSilver™は、プロテオミクス専用にデザインされていますが、従来のPAGEフォーマットでも優れた性能を発揮します。
以下のチャートを用いてアプリケーションに最も適した試薬を選択し、タンパク質検出を最適化してください。
タンパク質染色アプリケーション
アルシアンブルー8GXは、カチオン染料で、酸性グリコサミノグリカンと不溶性の複合体を形成することから、グリコサミノグリカンの定量に役立ちます。また、骨や軟骨、マウスMPC(間葉系前駆細胞)結節の硫酸化プロテオグリカン、ウシ関節軟骨細胞の硫酸化プロテオグリカンの染色にも使用されています。
アミドブラック(AB)は、酸性色素で、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)やニトロセルロースメンブレン中の50 ngレベルのタンパク質を検出できます。ABの使用により、低濃度のタンパク質でも可視化できます。指紋に含まれる血中タンパク質を染色できることから、法医学分野でも使用されます。
ブリリアントブルーGは、ポリアクリルアミドゲル用にデザインされたメタノールベースの染色液ですが、IEFアガロースゲル中のタンパク質も染色できます。この染色液には、メタノールと酢酸が含まれているため、染色前にゲルを固定する必要はありません。また、顕微鏡スライド上の細胞のタンパク質染色にも使用されます。
ブリリアントブルーR染色液は、アガロースゲルやオクタロニー法のゲル中のタンパク質を染色するために特別にデザインされています。この染色液には、エタノールと酢酸が含まれているため、染色前にゲルを固定する必要はありません。
エオシンY二ナトリウム塩は、免疫細胞染色や免疫組織染色で対比染色として使用されます。エオシンYは、キサンテン色素であり、結合組織や細胞質の示差染色に使用されます。組織病理学では、ヘマトキシリン染色後、メチレンブルー染色前の対比染色として使用されます。また、バックグラウンド染色として使用することで、核染色にコントラストをつけることもできます。
EZBlue™ ゲル染色試薬は、利便性と感度に優れたコロイド状タンパク質染色剤で、染色時間を大幅に短縮しながら、タンパク質電気泳動の結果を向上させます。コロイド状染色剤のため、タンパク質のみと反応し、ゲルとは反応しません。タンパク質バンドをすぐに可視化できます。脱染のステップは不要ですが、水で洗浄すると、バンドが強調され、バックグラウンドを消すことができます。EZBlue™染色液は、極めて高感度で、わずか5 ngのタンパク質も検出できます。
ファストグリーンFCFは、生体適合性のトリアリールメタン系染料です。この色素は、IEF、ネイティブPAGE、およびSDS-PAGEでのタンパク質染色に使用されます。ファストグリーン染色は、より広範囲のタンパク質濃度において直線性を有します。電気泳動後、感度を最大にするには、ゲル内のタンパク質を固定することをお勧めします。 脱染色は、30%(v/v)エタノール、10%(v/v)酢酸、もしくは7%酢酸のいずれかで行います。染色したゲルは625 nmで検出できます。検出感度はブリリアントブルーR染色の約30%です。ファストグリーンFCFは、ウサギの半月板および骨軟骨組織の染色に使用されています。
固定液(Fixing Solution)は、SDS-PAGE、非変性PAGEおよびIEFに適しており、染色前のタンパク質固定に効果的です。タンパク質分析の際は、電気泳動後にゲルから浸出しないようにゲル内に固定する必要があります。
糖タンパク質検出キットは、過ヨウ素酸シッフ(PAS)法を改良した方法により、ポリアクリルアミドゲルやメンブレン上の糖タンパク質を選択的に染色するためのものです。。糖タンパク質の糖鎖部分は、無色のバックグラウンドに対するマゼンタ色のバンドとして検出されます。過ヨウ素酸/シッフ試薬は、主に糖鎖末端やシアル酸にみられる隣接ジオール基を染色します。
金ナノ粒子は、電子顕微鏡観察におけるタンパク質および多糖類のマーカーとして使用されています。また、スポットテストや電気泳動後のポリアクリルアミドゲルのブロッティングにより、ニトロセルロースメンブレン上に固定化したタンパク質の染色にも使用されています。
オイルレッドO染色液は、酢酸セルロース上での脂質/リポタンパク質の染色に適しています。色素は染色中に沈殿し始めます。染色1時間後、メタノール:グリセロール(1:3の比率)でメンブレンを脱染します。アガロースでの使用例も多数報告されています。
ポンソーSは、ジアゾ色素のナトリウム塩です。この染色液は、ウェスタンブロッティングでニトロセルロースやPVDFメンブレン上に転写したタンパク質バンドを迅速に(5分)染色したり、セルロースアセテートメンブレン上のタンパク質を染色したりするためのすぐに使用できる試薬です。ニトロセルロースやPVDFメンブレンを染めているポンソーS染色は、メンブレンを0.1 M NaOHで1分間洗浄することで脱色できます。
ProteoSilver™銀染色キットは、安定かつ極めて高感度の染色キットです。このキットには、調製済みの銀染色試薬と最適な結果を得るための詳細な取扱説明書が同梱されています。タンパク質(BSA)検出限界は0.1 ng/mm2で、バックグラウンドが極めて低いため、存在量の少ないタンパク質の検出に優れています。
ProteoSilver™ Plus銀染色キットは、ProteoSilver™銀染色キット(上記)と同様です。ProteoSilver™ Plusは、MALDI-MSにも対応しており、リジン残基を架橋するグルタルアルデヒドを含まないため、スペクトルが不正確になります。ProteoSilver™ Plus銀染色キットには、トリプシン消化とMALDI-MS分析を計画しているユーザーのために、ゲルから切り出したタンパク質スポットを脱色するための2つの試薬が追加されています。
メンブレンおよびポリアクリルアミドゲル用可逆性タンパク質検出キットは、ナイロン、ニトロセルロース、PVDFの各メンブレン上のタンパク質、またPAGEゲル中のタンパク質を染色するためにデザインされた独自のタンパク質検出システムで、検出感度はクマシー染色剤と同等です。EDTA溶液を用いると、染色は可逆的になるため、ブロットをウェスタンブロッティングやアミノ酸配列分析に再利用できます。このキットには、毒性化合物であるカコジル酸やフェロシアン化カリウムは含まれていません。
スダンブラックBは、リン脂質と細胞内脂質を染色します。染色パターンは、ミエロペルオキシダーゼ反応に似ており、顆粒球細胞および好酸球を陽性染色し、単核球細胞を弱く染色します。スダンブラックBは、リン脂質を灰色に、中性脂肪を青黒色に染色します。
SYPRO™ OrangeはSYPRO™ Redに類似していますが、やや明るく、わずかに高いバックグラウンド蛍光を示します。レーザー励起ゲルスキャナーを使用している場合は、SYPRO™ Orangeにはアルゴンイオンレーザーで励起するタイプの装置をお勧めします。色素は、UVまたは広帯域照射により効率的に励起されます。ブロットやIEFゲルでのタンパク質染色には適しておらず、2-Dゲルでタンパク質を染色すると感度が低下します。
SYPRO™ Rubyタンパク質ゲル染色剤は、すぐに使える超高感度の発光染色剤で、PAGEによって分離されたタンパク質に適しています。2-D PAGEで使用するためにデザインされたこの染色剤は、1-D PAGEや等電点電気泳動法(IEF)ゲルにも有効です。SYPRO™ Rubyタンパク質ゲル染色剤で得られる感度は、多くの銀染色法と同等です。
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