SDS-PAGEゲル用mPAGE® Luxキャスティングシステム
SDS-PAGEゲルをどのようにキャスティングしていますか?ゲルキャスティングでは通常、分離ゲルと濃縮ゲルを積み重ねる必要がありますが、これらは段階的で時間のかかるプロセスです。これまで研究者たちには、ゲルキャスティングと電気泳動のニーズを満たす選択肢がほとんどありませんでした。メルクの画期的なmPAGE® Lux SDS-PAGEゲルキャスティングシステムは、ハンドキャストゲルの柔軟性とプレキャストゲルの信頼性を兼ね備えた設計になっており、他の選択肢にみられるような品質や時間のロスもなく、コストもそれほど高くありません。mPAGE® Luxキャスティングシステムを使用すると、3分以内にゲルを作成できます。従来のゲル作成法や時間のかかる手作業に別れを告げることができます。新鮮な経験です。
精密なシステム制御を用いたワンステップの光重合とシンプルな調製手順により、エラーが生じる可能性が低くなります。mPAGE® ゲルキャスターは漏れを防ぎ、Bis-Trisゲルの使用によりハンドキャストのTris-Glycineゲルと比べて優れたバンド品質を実現します。さらに、mPAGE® Lux試薬キット、mPAGE® TurboMix™およびmPAGE®プレキャストゲルは、すべてBis-Tris系試薬を使用しており、同じランニングバッファーやゲル染色液を使用できます。mPAGE® LuxキャスティングシステムはAPSやTEMEDを使用しておらず、有毒化学物質の使用が少ない安全な方法を提供します。
従来のハンドキャストのワークフロー
mPAGE®Luxキャスティングシステムのワークフロー
図1.従来のゲルキャスティングとmPAGE® Luxキャスティングシステムワークフローの比較。mPAGE® Luxキャスティングシステムは、従来のゲルキャスティング法と比べ、全体の手順が少なく、重合時間も短く、毒性廃棄物が少ない。mPAGE® Luxキャスティングシステムによって作成されるゲルは、mPAGE® ミニゲルタンクおよびBio-Rad® Mini-PROTEAN® Cellに対応。優れた分離能と泳動時間の短縮を実現するために、mPAGE®バッファーを使用。Luxゲルは、Bis-Tris系専用バッファーおよび染色試薬に対応。
図2.mPAGE® Lux Bis-TrisゲルとハンドキャストTris-Glycineゲルのデータ品質の比較。mPAGE® Lux Bis-Trisゲル(左)とハンドキャストTris-Glycineゲル(右)のデータ品質の比較。いずれのゲルも10%アクリルアミドで、段階希釈したA431ヒト細胞ライセートを泳動。電気泳動時間は、Luxゲルでは200 Vで42分、Tris-Glycineゲルでは120 Vで119分。ゲルをReadyBlue® Coomassieゲル染色液で染色。
mPAGE® Luxキャスティングシステムは、ゲルキャスティングプロセスに画期的なソリューションを提供します。時間やリソースを節約する必要はもうありません。新しいゲルキャスティングシステムにより、研究者は、プレキャストゲルの数分の1のコストで、必要なときにゲルを簡単に迅速にキャスティングすることができます。mPAGE® Luxキャスティングシステムにより、ラボの効率が向上し、ゲル電気泳動のワークフローがアップグレードされます。
図3.ウェスタンブロッティングの転写方法をウェット式、高速式およびセミドライ式で比較した。12% mPAGE® Lux Bis-Trisゲルを用い、段階希釈したA431ヒト細胞ライセートを電気泳動し、複数の転写方法によりImmobilon®-Pメンブレンに転写して比較した。抗EGFR抗体および抗ErK1/2抗体でメンブレンをブロッティングし、Immobilon® ECL Ultra Western HRP基質で検出した。高速式では、Bio-Rad® Trans-Blot™ Turbo™ 転写システムとTrans-Blot™ Turbo™ 転写パックを用いて転写した。
図4.mPAGE® Lux Bis-Trisゲルの再現性。A. 4つの8%ゲルをキャスティングし、段階希釈したA341ヒト細胞ライセートを電気泳動し、その後ReadyBlue® Coomassieゲル染色液で染色した。B. 未染色分子量マーカーの相対移動度(Rf)を各ゲルについて算出。各タンパク質バンドに関する標準偏差を表示。
図5.mPAGE® Lux Bis-Tris試薬の使用期限の分析。(A)製造後0カ月、(B)6カ月、または(C)12カ月の試薬を用いて、mPAGE® Lux Bis-Trisゲルのキャスティングを行った。泳動パターンおよび泳動時間に違いは認められなかった。
mPAGE® Luxキャスティングシステム・Bis-Tris試薬キット
mPAGE® Luxキャスティングシステムをラボに導入し、3分以内に作成できるready-to-useのゲルをお試しください。一息ついて、無駄が少なく失敗の心配もない、短時間のゲルキャスティングプロセスに慣れてみてください。新鮮な経験です。mPAGE® Luxキャスティングシステムキットは、mPAGE® Lux硬化ステーション、mPAGE® Lux混合チューブ、mPAGE®ゲルキャスター、mPAGE®コーム(10ウェルタイプと15ウェルタイプ)、mPAGE®ミニスペーサープレート、mPAGE® Luxマスク付きショートプレート(10ウェルタイプと15ウェルタイプ)で構成されています。ただし、厚さ0.75 mmのmPAGE® Luxキャスティングシステムには15ウェルコームとマスク付きショートプレートは含まれていません。キットの説明と構成は以下のとおりです:
mPAGE® Lux硬化ステーション
mPAGE® Lux Bis-Tris試薬キットは、mPAGE® Luxキャスティングシステム専用の試薬キットです。mPAGE® Lux Bis-Tris試薬キットは、分離溶液、希釈液、スタッキング溶液の3点で構成されています。このキットは、8.0~13.5%の濃度までのさまざまなアクリルアミドゲルを作成できます。mPAGE® Lux試薬キットの説明と構成は以下のとおりです:
mPAGE® Lux SDS-PAGEゲルキャスティングのプロトコル
重合を防ぐために、すべての溶液を遮光保存する必要があります。ゲルをキャスティングする前に、すべての溶液を室温に戻してください。
分離ゲル
- 分離溶液と希釈液を混合して分離ゲル溶液を調製します。混合する液量については、以下の表を参照してください。分離ゲル溶液は、まとめて調製し、順番に複数のゲルを作成することができます。
- 分離溶液をクリーンなピペットで、黒色の混合チューブまたはその他の不透明の容器に添加します。
- 希釈液をクリーンなピペットで、同じ混合チューブに添加します。
- ゆっくりと容器を転倒攪拌させます。ボルテックスは使用しないでください。
分離ゲル溶液の量
1枚の1.0 mmゲルに対して、以下の液量を使用してください。0.75 mmおよび1.5 mmのゲルに対する液量については、SigmaAldrich.comの製品ページで完全版ユーザーガイドをご覧ください。
濃縮ゲル
濃縮ゲル溶液は、ボトルから取り出して直接使用できます。1.0 mmゲルに対して濃縮ゲル溶液1.5 mLを使用してください。重要:濃縮ゲル溶液を希釈しないでください。
ゲルキャスティング
- ガラスプレートを中性洗剤で洗浄し、脱イオン水ですすぎます。使用前に70%エタノールで拭き取ります。
- mPAGE®スペーサープレートとmPAGE® Luxマスク付きショートプレートを使用してmPAGE®ゲルキャスターを組み立てて、ガラスカセットを作成します。マスク付きショートプレートは、カセットの左側に文字がくるようにしてください。キャスターフレームの底面で2枚のガラスプレートの位置を調整してから、キャスターのクランプを止めてください。注記:mPAGE® Luxマスク付きショートプレートは、必ずmPAGE®硬化ステーションとあわせてご使用ください。
- 電源ボタンを押してmPAGE® Lux硬化ステーションの電源を入れます。硬化ステーションが自己診断テストを開始します。自己診断テストが完了すると、準備完了画面が表示されます。
- 扉を開き、ゲルキャスターを硬化ステーションにセットします。キャスターをバンパーの後ろに合わせてください。
- クリーンな5 mLピペットを用いて、調製した分離ゲル溶液をmPAGE®ゲルキャスターフレームの表示ラインまで添加します。
- クリーンな5 mLピペットを用いて、濃縮ゲル溶液を、ショートプレートの上部までゆっくりと加えます。
- mPAGE®コームを、歯部分の下に気泡が形成されない角度でゆっくり挿入します。重要:ウェルタイプの違うコームを使用すると、適切なウェルが形成されない場合があります。使用法は以下のとおりです。
- 10ウェルmPAGE® Luxマスク付きショートプレートには10ウェルコームを使用
- 15ウェルmPAGE® Luxマスク付きショートプレートには15ウェルコームを使用
- こぼれた溶液が残っていると硬化が不完全になるため、ショートプレートの正面からこぼれた溶液を拭き取ってください。
- 硬化ステーションの扉を閉じて、ゲルの厚さを選択します。
- スタートボタンを押してゲル硬化を開始します。コツ:複数のゲルをキャスティングする場合は、最初のゲルを硬化させている間に、2つめのゲルキャスターでゲルキャスティングプロセスを開始してください。
- 硬化が完了したら、扉を開きゲルキャスターを取り出します。テンションクリップを下げてキャスターフレームを外し、ゲルキャスターからカセットを取り出します。次に、フレームの側面を開き、上からカセットをスライドさせて取り出します。
- ゲルは直ちに使用してください。すぐに使用しない場合は、濡らしたペーパータオルでカセットを包み、ジップバッグまたはその他の密閉容器に入れて平らな状態で保管してください。2℃~8℃で最長2週間使用できます。ゲルが乾燥するため、カセットは必ず包んで保管してください。
電気泳動後のゲルの取り出し方法
ゲルスクレーパーを用いてガラスカセットからゲルを外します。ゲルが裂けないようにゲルの縁(右側)に沿って切り出してください。mPAGE® Lux Bis-TrisゲルではMOPS-SDSまたはMES-SDSランニングバッファーのみを使用してください。Bis-Trisゲルは、Tris-Glycineランニングバッファーに対応していません。
mPAGE® Luxゲルキャスティングシステムによるサステナブルなゲルキャスティング
私たちは、タンパク質分離研究を廃棄物や化学物質のリスクを軽減しながら、行っていただけるよう、環境にやさしいワークフローソリューションの提供に尽力しています。 mPAGE® Luxゲルキャスティングシステムの使用により、従来のハンドキャストのワークフローと比べてゲル1枚あたりの使い捨てプラスチック廃棄物の量が最大26%抑えられ、ゲルの作成に必要な時間と作業工程が削減されます。また、mPAGE® Luxシステムでは、TEMEDやAPSなどの危険な試薬に代わって光開始剤を使用しているため、これらの試薬へのばく露が生じず、廃棄物管理も不要です。よりサステナブルな未来に向けてともに取り組みましょう。mPAGE® Luxシステムにより時間を節約し、環境面での利点を体験してください。
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