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ホーム核酸の標識法と検出メンブレン(膜)に結合したタンパク質・核酸の検出に使用される方法

メンブレン(膜)に結合したタンパク質・核酸の検出に使用される方法

メンブレン(膜)担体に転写された核酸および特異的なタンパク質を視覚化するために、様々な検出方法が使用されます。サザンブロットおよびノーザンブロットは放射性プローブを使用し、その検出には、X線への曝露または暗所でのオートラジオグラフィーフィルムを使用します。ウェスタンブロッティングでは、ニトロセルロースメンブレン(膜)上のタンパク質は、比色分析、化学発光または蛍光法を用いて検出することができます。

ウェスタンブロッティング検出法

比色検出

測定原理:一般的な検出方法は、タンパク質特異的一次抗体の使用およびその後のHRP(ホースラディッシュペルオキシダーゼ)またはAP(アルカリホスファターゼ)酵素のいずれかと結合した二次抗体を用いた検出を利用しています。発色基質を添加すると、酵素は反応を触媒し、ブロット上に沈着する着色沈殿物を産生します。この沈殿物は容易に目視でき、画像化することができます。

メンブレン(膜)上のタンパク質の比色検出

図1.メンブレン(膜)上のタンパク質の比色検出

ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)システム:HRPに適合する基質は、 4-クロロ-1-ナフトール (4-CNC8302), 3, 3’-ジアミノベンジジンDABD5905)および 3,3′,5,5′-テトラメチルベンジジン(TMB; T0565)です。

過酸化水素の存在下で、二次抗体結合HRPは

  • 4-CNを酸化し青紫色の4-クロロ-1-ナフトン沈殿物を生成します
  • DABを重合し褐色沈殿物を生成します
  • TMBを酸化し暗青色のTMBジイミン沈殿物を生成します

アルカリホスファターゼ(AP)システム:APに適合する基質は、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドイルリン酸塩(BCIP®)およびニトロブルーテトラゾリウム(NBT)B5655B6404B6777B1911)の組み合わせです。

AP結合二次抗体を用いたウェスタンブロット上のタンパク質は、 5-ブロモ-4-クロロ-3-インドイルリン酸塩(BCIP) および ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)との2段階反応により可視化されます。APは、BCIPの脱リン酸化によりブロモクロロインドキシル中間体の形成を触媒します。NBTはインドキシルを酸化し、紫色の沈殿物を産生します。代わりに不溶性の青色のジホルマザン沈殿物に還元されます。2つの沈殿物の組み合わせは、ターゲットタンパク質の部位でブロット上に目視できる紫青色の沈殿物を生成します。

検出方法の構造

図2.検出方法の構造

化学発光検出法

測定原理:化学発光は、基質が関与する化学反応が光の形でエネルギーを放出するプロセスです。放出光はX線フィルム上に捕捉することができます。この最も一般的な検出方法は、HRP(ホースラディッシュペルオキシダーゼ)またはAP(アルカリホスファターゼ)のいずれかと結合した二次抗体による検出に利用されています。

メンブレン(膜)上のタンパク質の化学発光検出

図3.メンブレン(膜)上のタンパク質の化学発光検出

ホースラディッシュペルオキシダーゼ-lルミノールシステム:ルミノールはHRPの化学発光基質です。過酸化物存在下で、HRPはルミノールを酸化し3-アミノフタル酸塩と呼ばれる励起生成物を産生し、425nmで発光します。発光は、3-アミノフタル酸塩が減衰し基底状態に入るまで継続します。放出光はCCDカメラまたはX線フィルムへの曝露により捕捉することができます。

アルカリホスファターゼ(AP)-CDP-Star®システム:CDP-Star®(ジナトリウム2-クロロ-5-(4-メトキシスピロ{1,2-ジオキセタン-3,2’-(5’-クロロ)トリサイクロ[3.3.1.13,7]デカン}-4-イル)-1-フェニルリン酸塩)は、APの化学発光基質です。CDP-Star®は、APにより脱リン酸化され、準安定状態のジオキセタンリン酸塩アニオンを産生し、466nmで発光します。放出光は最長24時間安定であり、X線フィルムへの複数回曝露が可能です。  

HRPおよびAP酵素と結合した二次抗体を幅広く取り揃えています。これらの二次抗体は、以下のウェスタンブロッティングにおける検出試薬とともに使用できます。

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蛍光検出法

測定原理また、ウェスタンブロット上のターゲットタンパク質は、蛍光色素と結合した一次または二次抗体を用いて検出できます。この色素は特定の波長で蛍光を発し、ブロットをイメージングすることにより検出可能です。

メンブレン(膜)上のタンパク質の蛍光検出

図4.メンブレン(膜)上のタンパク質の蛍光検出

様々なAtto蛍光色素と結合した二次抗体を幅広く取り揃えています。それらは、異なる励起/発光波長を用いた、2つの二次抗体がAtto色素と結合したマルチプレックスイムノブロッティングに最適です。Atto色素と結合した二次抗体の組み合わせは、特定のタンパク質におけるリン酸化および非リン酸化状態の検出に最も適しています。

マルチプレックスイムノブロッティングについて詳しくはこちら

サザン・ノーザンブロッティングの検出方法

サザン・ノーザンブロッティングでは放射性プローブを使用しており、その検出は暗所でのX線フィルムまたはオートラジオグラフィーフィルムへの曝露を使用しています。しかしながら、ナイロンメンブレン(膜)上に転写された核酸を検出する化学発光基質があります。

化学発光検出法

核酸プローブの化学発光検出では、ブロッキングバッファー(B6429C7594G7663)中でメンブレン(膜)を60分インキュベートする必要があります。

HRP-ルミノールシステム:また、HRPとルミノールとの反応は、サザン・ノーザンブロッティングの核酸の検出に利用できます。DNA・RNAプローブは、シンプルな反応でHRP標識が可能です。標識プローブはさらに精製することなく使用可能です。プローブは、HRPとルミノールとの光生成反応によりブロット上に検出可能です

CDP-Star®システム:DNA・RNAプローブは、シンプルな標識反応で熱安定性アルカリホスファターゼとともにCDP-Star®により標識可能です。標識プローブはさらに精製することなく使用可能です。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、温度・塩濃度によって制御できます。

以下のサザン・ノーザンブロッティングの化学発光検出試薬を取り揃えています。

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検出用X線フィルム

ウェスタンブロット上のタンパク質の化学発光検出用のX線フィルムを幅広く取り揃えています。多様で便利なパックサイズがあります。  Carestream Kodak Biomaxフィルムの最も汎用的なパックサイズを下記に示します。

サザン・ノーザンブロッティングの放射性プローブの検出は、X線フィルムにプローブを-80℃で曝露することにより行います。サザン・ノーザンブロット検出用に、以下のとおり多様で便利なパックサイズのX線フィルムを取り揃えています。Carestream Kodak Biomaxフィルムの最も汎用的なパックサイズを下記に示します。

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タンパク質および核酸の検出のためのプロトコル

タンパク質の比色検出

4-CN溶液を用いた検出

  • ウェスタンブロッティング完了後、ブロッキングバッファーおよび一次抗体中でブロットをインキュベートします。
  • HRPまたはAPのいずれかで標識した二次抗体とブロットをインキュベートします。
  • インキュベーション時間は、ターゲットタンパク質および使用抗体の濃度によって決まります。
  • 清潔で平らなところにブロットを静置します。
  • 最終過酸化物濃度が0.01%になるよう4-CNおよび過酸化水素を合わせ、基質溶液を調製します。
  • 室温で1~5分、ブロット表面全体を基質溶液で均一に覆います。
  • 望ましい濃さの色が発現したら、ブロットを水で洗浄し反応を停止します。
  • ブロットの画像を取得します。

DABを用いた検出

  • ウェスタンブロッティング完了後、ブロッキングバッファーおよび一次抗体中でブロットをインキュベートします。
  • HRPまたはAPのいずれかで標識した二次抗体とブロットをインキュベートします。
  • インキュベーション時間は、ターゲットタンパク質および使用抗体の濃度によって決まります。
  • 清潔で平らなところにブロットを静置します。
  • DAB1錠をトリス緩衝生理食塩水15 mL、pH 7.6に溶解し、基質溶液を調製します。使用直前に、新鮮な30%過酸化水素水12 μLを添加します。DABおよび過酸化物濃度は必要に応じ変更可能です。
  • 室温で1~5分、ブロット表面全体を基質溶液で均一に覆います。
  • 望ましい濃さの色が発現したら、ブロットを水で洗浄し反応を停止します。
  • ブロットの画像を取得します。

TMBを用いた検出

  • ウェスタンブロッティング完了後、ブロッキングバッファーおよび一次抗体中でブロットをインキュベートします。
  • HRPまたはAPのいずれかで標識した二次抗体とブロットをインキュベートします。
  • インキュベーション時間は、ターゲットタンパク質および使用抗体の濃度によって決まります。
  • 清潔で平らなところにブロットを静置します。
  • 室温で5~15分、ブロット表面全体をTMB溶液で均一に覆います。
  • 望ましい濃さの色が発現したら、ブロットを高純度水で洗浄し反応を停止します。
  • ブロットの画像を取得します。

BCIP®/NBTを用いた検出

  • ウェスタンブロッティング完了後、ブロッキングバッファーおよび一次抗体中でブロットをインキュベートします。
  • HRPまたはAPのいずれかで標識した二次抗体とブロットをインキュベートします。
  • インキュベーション時間は、ターゲットタンパク質および使用抗体の濃度によって決まります。
  • 清潔で平らなところにブロットを静置します。
  • 室温で1~5分、ブロット表面全体をBCIP®/NBTで均一に覆います。
  • 望ましい濃さの色が発現したら、ブロットを水または1%酢酸溶液で洗浄し反応を停止します。
  • ブロットの画像を取得します。

タンパク質の化学発光検出

  • ウェスタンブロッティング完了後、ブロッキングバッファーおよび一次抗体中でブロットをインキュベートします。
  • HRPまたはAPのいずれかで標識した二次抗体とブロットをインキュベートします。
  • インキュベーション時間は、ターゲットタンパク質および使用抗体の濃度によって決まります。
  • 清潔で平らなところにブロットを静置します。
  • ビーカー内でルミノール試薬および酸化剤を等量混和し、化学発光試薬を調製します。この混合物をブロット上に注ぎ、穏やかに振とうしながら約1分インキュベートします。
  • ブロッティングペーパー上のブロットを軽くたたいて過剰な化学発光試薬を除去します。
  • ブロットを暗室に移します。
  • フィルムカセット内の2枚のプラスチックラップの間にブロットを静置します。気泡がある場合は、ならして伸ばします。
  • X線フィルムをブロットの上に置き、約30秒露光して現像します。
  • 最適な検出のため必要に応じて露光時間を変更します。

核酸の化学発光検出

また、化学発光試薬がサザン・ノーザンブロットの核酸検出に使用される場合も、上記プロトコルを使用することができます。

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参考文献

1.
Sambrook J, Fritsch E, Maniatis T. 1989. Molecular cloning: a laboratory manual.. New York: Cold Spring Harbor Larboratory Press.
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