コンテンツへスキップ
Merck
ホームポリメラーゼ連鎖反応のアプリケーションオリゴヌクレオチドの品質管理と品質保証

オリゴヌクレオチドの品質管理と品質保証

品質管理

メルクの保証されたパフォーマンスは、オリゴヌクレオチドの化学と合成プラットフォームに関する包括的な理解、分析システム、そして方法開発の経験を私たちが有することと直接的に関連しています。

メルクの品質への取り組み

図1で強調されているように、品質は製造工程に不可欠な部分です。メルクでは、すべてのオリゴヌクレオチドの質量分析を行っています。ご希望に合わせてクロマトグラフィーや電気泳動などを実施し、品質を確認することが可能です。また、最先端の分析機器によって工程の開発と監視を行い、業界をリードしています。ピーク積分、波形デコンボリューション、信号処理のためのソフトウェアツールを慎重に選択することによって、生成されるデータが有意義、有用、実用的なものになるようにしています。

適切なツールを有することは、私たちの提供するソリューションの半分にすぎません―分析化学者、分子生物学者、核酸研究者から成るチームが、まさに私たちを際立った存在としています。チームが共同で分析法を作り出し、お客様の製品開発や商業的な要件をサポートしています。

品質管理は製造工程全体にわたって行われます。

図1.品質管理は製造工程全体にわたって行われます。

原材料と化学物質

ホスホロアミダイト、固相合成担体、試薬、溶媒などの重要な原材料は内部から調達しています。重要な原材料の受領時に、入荷品質管理として、水分含有量分析(カールフィッシャー滴定)、ホスホロアミダイト同定、試験成績書に基づく固体担体の検証と受理などを行います。さらに、厳格な供給業者適格性評価プログラムが品質管理システムに組み込まれており、供給業者との関係や性能を管理することができます。

化学プロトコルは、合成においてヌクレオチドごとに99.0%を超えるカップリング効率が得られるように、最適化されています。プロトコルは、短鎖(<35mer)および長鎖(>110mer)オリゴヌクレオチドのどちらの合成にも行うことができます。オリゴヌクレオチド合成は、確立したホスホロアミダイトを用いて実行されます。私たちは日常的に保護基、活性化剤、合成担体などの新たな化学物質を研究し、絶えずオリゴヌクレオチドの品質を向上させ、製品ポートフォリオを拡張しています。

機器類と合成

メルクの社内技術チームには、機械、電気、ソフトウェアの専門家が参加し、独自の合成および処理装置を設計し、適格性を評価しています。機器は、確立した設計審査過程と、据付時適格性評価/運転時適格性評価/性能適格性評価(IQ/OQ/PQ)プログラムによって適格性を評価されます。機器のための広範な予防的・予測的なメンテナンスプログラムによって、最適な性能が実現し、一貫性と信頼性が確保されます。LIMSが絶えず各オリゴヌクレオチドの進捗をリアルタイムで監視し、不適合品には隔離するために目印が付けられます。

質量分析による配列の検証

質量分析(MS)はオリゴヌクレオチドの分析に最適な技術です。これは合成工程の適格性評価とあわせて、正しい配列が合成されていることを保証するものです。さらに、次のような低濃度の副生成物を高感度で検出することができます:

  • ・トランケーション配列(不完全なカップリングにより形成、N-1、2など)。「ショートマー」と呼ばれることもあります
  • ・欠失配列(合成中のキャッピングの失敗により形成)。「ショートマー」とも呼ばれます
  • ・脱プリン反応(アデニンおよびグアニンのそれぞれの[リボ]ヌクレオシドからの望ましくない加水分解切断)
  • ・保護基の不完全な除去(例えば、アデニンのベンゾイル基)
  • ・アクリロニトリル付加物(脱保護中に形成)

正しい配列が合成された場合であっても、上記の副生成物は性能にマイナスの影響を及ぼす可能性があるため、オリゴヌクレオチドはすべてMSによって徹底的に特性を明らかにし、副生成物が規定量を下回ることを確認します。

高い品質管理の取り組みを実現するために、MALDI-TOF MS(マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計)とESI-MS(エレクトロスプレーイオン化質量分析計)の2種類のMSが使用されています。それぞれに長所と短所があります。メルクの各製造所では、主に合成されている配列の性質に応じて、いずれか1種類または両方の機器が使用されています。

分析用HPLCによる純度の検証

MALDI-TOF MSとESI-MSでは純度を定性的に評価することができる一方、定量的評価は、RP-HPLC(逆相高速液体クロマトグラフィー)、IE-HPLC(イオン交換高速液体クロマトグラフィー)、UPLC(超高速液体クロマトグラフィー)によって行います。使用する方法は、オリゴヌクレオチドの性質と最終仕様に応じて異なります。

紫外分光法による定量化

すべてのオリゴヌクレオチドにおいて、260nmでの吸光度測定を行います。データを正確に求めるため、光路長補正機能を備えた自動分光光度計を用いて、複数回の測定を行います。吸光係数(業界標準の「最近隣」法を用いて算出)とランベルト・ベールの法則から、吸光度測定値を量に換算することができます。

siRNA二本鎖の分析

siRNA simplexesはすべて、MSにより分析します。さらに、メルクの各製造拠点では、配列の性質に応じて、PAGE(ポリアクリルアミドゲル電気泳動)を用いて二本鎖を分析することもあります。

カスタムフォーマット

装置による自動化の需要が高まる中で、96および384ウェルプレートなどのカスタムフォーマットでのオリゴヌクレオチドの出荷は、一貫した品質を保証する上でより大きな課題をもたらします。特定のプレート、濃度、フォワードおよびリバースプライマーの混合などの製品フォーマットは、詳細な仕様を必要とします。カスタムフォーマットの精度を検証するための追加の品質管理方法を実施しています。

最終検査

製品はすべて、最終外観検査の後に梱包されます。検査によって、完成品がご希望のフォーマットで作られ、正確なラベルを貼付され、すぐに使用できるようになっていることを確認します。

品質保証

メルクの製造工程の基礎は、下記の品質登録への準拠を推進する堅固な品質管理システム(QMS)にあります:

  • ・ISO9001:2015 研究グレードのオリゴヌクレオチドの製造
  • ・ISO13485:2016 診断薬グレードのオリゴヌクレオチドの製造
  • ・ISO14001:2015 効果的な環境管理

この品質文化は、メルクの事業のすべての側面に組み込まれています。私たちのQMSの主要な要素は次のとおりです:

  • ・試験成績書
  • ・文書管理
  • ・チェンジノーティフィケーション
  • ・ベンダー管理
  • ・事業契約
  • ・是正および予防措置

それぞれの要素によって品質保証を推進し、検証については、厳格なレジストラ監査、内部監査、顧客監査を定期的に実施しています。

結論

オリゴヌクレオチドの品質管理の実施には、100%質量分析などのいくつかの分析手法を利用することができます。

ログインして続行

続きを確認するには、ログインするか、新規登録が必要です。

アカウントをお持ちではありませんか?