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抗体基礎知識

抗体の基本構造

抗体は、イムノグロブリン(免疫グロブリン、Ig)とも呼ばれ、Bリンパ球(B細胞)によって産生され、血漿中に分泌されます。単量体のIg分子は、分子量約150 kDaの糖タンパク質であり、ほぼY字型の構造をしています。Ig単量体の基本構造(図1)は、構造を二分にした同一の要素からなり、2つのジスルフィド結合でつながっています。各要素は、約50 kDaの重鎖(H鎖、heavy chain)と約25 kDaの軽鎖(L鎖、light chain)で構成され、軽鎖のカルボキシル末端付近のジスルフィド結合によって結合されています。重鎖は、カルボキシル末端(Y字のベース)にあるFc部分と、アミノ末端(Y字のアーム)にあるFab部分に分かれています。Fc部分は重鎖のみで構成され、炭化水素鎖が結合しています。IgGおよびIgMのFc領域は免疫反応調節に関与する細胞(マクロファージなど)の細胞表面レセプターへの結合能があり、免疫反応を調節するサイトカインの放出を促進する機能があります。Fc領域には、すべてのIgに共通のタンパク質配列と、個々のクラスに固有の決定基が含まれています。これらの領域は、同じクラス内の異なるIg分子間で大きな違いがないため、定常領域と呼ばれます。Fab部分は、1つのジスルフィド結合によって重鎖と軽鎖がつながっており、1つの重鎖と1つの軽鎖のペアが結合して、抗体の抗原結合部位を形成します。イムノグロブリン1分子に抗原結合領域が2か所存在するため、理論的に各イムノグロブリンは2つの抗原分子と結合可能です。 

イムノグロブリンの基本構造

図1

抗体のクラスとサブクラス

イムノグロブリン(免疫グロブリン、Ig)は主に、IgA、IgD、IgE、IgG、IgMの5種類のクラス(図2)に分類されます。また、このほかに鳥類が卵黄中に産生するIgYもあります。

イムノグロブリンの主なクラス

図2

クラスの同一性は、重鎖のFc領域のクラス特異的配列によって決定され、IgA、IgD、IgE、IgG、IgMの各クラスのH鎖はそれぞれギリシャ文字でα、δ、ε、γ、μ鎖と表記されます。軽鎖はイムノグロブリンの中で普遍的であり、カッパまたはラムダという2つのタイプとして存在し、通常は、ギリシャ文字のκとλと表記されます。ヒトおよびマウスのイムノグロブリンの特性については、それぞれ表A表Bを参照してください。

表A

*軽鎖はすべてのイムノグロブリンクラスに存在しています。一般的にヒトではκ鎖67%、λ鎖33%の比率で見られます。他生物種の比率は下表「イムノグロブリン軽鎖の比」をご覧ください。

表B

生物種によりκ鎖、λ鎖の割合が異なります。表Cをご参照ください。

表C

抗体の形状

抗体は、全分子として、および抗体のF(ab)2フラグメントとして提供されます。表Dは、一般的な抗体の形状の例を示しています。

表D

参考文献

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