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抗体の実用:標識抗体と二次抗体の使用

標識抗体

シグナル増幅や検出のために、精製された抗体を、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ(AP)、ローダミン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、またはビオチンなどの酵素、蛍光色素、またはハプテンで標識することがよくあります。標識抗体によって安定性が異なり、長期間にわたって最大の活性を保持するためには、必要なバッファーや保存条件も異なります。精製済み抗体および標識抗体の標準的な抗体バッファーと保存条件を、以下のリストに示します。ただし、これは一般的なガイドラインです。各抗体の保存条件については、必ずその抗体に添付されたデータシートを参照してください。

抗体バッファー

  • アフィニティ精製されたモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体0.02 Mリン酸バッファー、0.25 M NaCl、0.1% NaN3、pH 7.6、必要に応じてNaN3を含まない同様のバッファーを使用可能
  • FITC標識抗体:0.02 Mリン酸バッファー、0.25M NaCl、15 mg/mL BSA、0.1% NaN3、pH 7.6
  • HRP標識抗体:0.01 M PBS、15 mg/mL BSA、0.01%チメロサール、pH 7.1
  • アルカリホスファターゼ標識抗体:0.05 M Tris、0.1 M NaCl、0.001 M MgCl2、15 mg/mL BSA、0.1% NaN3、pH 8.0
  • ビオチン標識抗体:0.01 M PBS、15 mg/mL BSA、0.1% NaN3、pH 7.1

標準的な抗体濃度

抗体の保存条件

抗原検出の原理

図1.抗原検出の原理

二次抗体

二次抗体は、最初に一次抗体を結合させた抗原を、間接的に検出するためによく使用されます。このため、一次抗体の動物種やアイソタイプに特異性を有し、検出可能なタグか標識に結合した二次抗体を選択することが重要です。以下の点を考慮してください:

  • 検出可能なタグには、酵素や蛍光色素があります。一般的に用いられるタグは、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ(AP)、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、テキサスレッド、フィコエリトリン(PE)、ビオチンです。
  • 二次抗体を適切に選択することによって、染色が改善され、偽陽性や偽陰性が最小限に抑えられます。
  • 利用可能な標識一次抗体がない場合、または一次抗体が望ましい酵素や蛍光色素で標識されていない場合は、二次抗体が使用されます。
  • 二次抗体は、検出の感度を上げるためにも用いられています。二次抗体の使用によって作業工程が増えることになりますが、複数の二次抗体が単一の一次抗体に結合することから、シグナルが増幅され、感度が上がるという利点があります。
  • 二次抗体は、ホスト動物を、異なる動物種由来の抗体で免疫して産生させます。例として、抗ヤギ抗体は、ヤギの抗体をヤギ以外の動物に注射することによって産生させます。このように、一次抗体をマウスで産生させた場合には、二次抗体は別の動物種(ヤギ、ロバなど)で産生させた抗マウス抗体である必要があります。
  • ELISA検出には、酵素標識抗体が良い選択肢となります。フローサイトメトリーには、蛍光色素標識二次抗体の使用が最適です。
  • 大多数の一次抗体は、IgGクラスの抗体です。これらの抗体は、適切な抗動物種IgG二次抗体によって検出することができます。一次抗体がIgMであれば、IgMに特異的な二次抗体を選択する必要があります。適切な二次抗体の選び方:
  • 二次抗体は、一次抗体を産生させた動物種と同一の種に対するものである必要があります。例として、一次抗体をヤギで産生させた場合には、二次抗体は抗ヤギ抗体である必要があります。
  • 専門知識や、実験室で利用可能な機器に基づき、望ましい蛍光色素か酵素で標識した抗体を選択します。一般的に用いられる蛍光色素標識は、フルオレセイン、ローダミン、テキサスレッド、フィコエリトリンなどです。酵素標識には、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼなどがあります。
  • ビオチン標識抗体をアビジンやストレプトアビジンで標識した酵素または蛍光色素と組み合わせると、蛍光色素や酵素で標識した二次抗体よりも増幅されたシグナルが得られます。
  • 最良の結果を得るために、サンプルと同一の動物種由来の血清で事前に吸収処理させた二次抗体を使用してください。これにより、多くの場合、バックグラウンドが減少します。しかし、このような事前に吸着させた抗体では、エピトープの認識力が低下し、一部のIgGサブクラスは認識されないおそれがあります。
  • アフィニティ精製された二次抗体では、非特異的結合が最小になります。しかし、親和性の高い抗体を含有している場合には、IgG分画のほうが好ましい場合もあります。これは、抗原が非常に低いレベルで存在している場合には、大きな利点となります。
  • 使用する一次抗体のクラスまたはサブグラスに一致する二次抗体を選択します。例として、一次抗体がマウスIgMであれば、抗マウスIgM二次抗体の使用が最適です。
  • マウスモノクローナル一次抗体のクラスまたはサブクラスが不明な場合は、ほとんどのマウスIgGサブタイプを認識する抗マウスIgGを用いても良いでしょう。
  • 「二次抗体・標識・キット」参照
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