コンテンツへスキップ
Merck
ホームウェスタンブロッティングアルカリホスファターゼ

アルカリホスファターゼ

アルカリホスファターゼ — アッセイ、分子量、基質、および構造

ELISA、ウエスタンブロット、組織化学的検出を目的とした、各種抗体や他のタンパク質との結合に最適化されたアルカリホスファターゼ(ALP/ALKP)製剤を幅広くご提供しています。BioUltraグレードのアルカリホスファターゼは比活性が非常に高く、高感度が必要となるタンパク質標識に特に役立ちます。

ウェスタンブロッティング

ウエスタンブロッティングと免疫組織化学

図1.抗FLAG抗体およびALP標識二次抗体と反応させ、BCIP/NBT基質により発色させたFLAG-BAPコントロールタンパク質(ProteoQuest比色ウエスタンブロットキット、B6404を使用)。

免疫組織化学

免疫組織化学染色法によるアルカリホスファターゼの検出

図2.SIGMAFAST™ Fast Red TR/ナフトールAS-MXタブレット(カタログ番号 F4523)を基質として使用して、モノクローナル抗ヒトIgAと抗マウスIgG ALPコンジュゲートで染色されたヒト扁桃腺のホルマリン固定パラフィン包埋切片。。40x

メルクの製品は、カゼイン等のタンパク質の脱リン酸化にも使用されています。ALKPは、セルフライゲーションを防止するためにDNAまたはRNAの5'末端を脱リン酸化するために使用できます。DNAまたはRNAは、ALKPで脱リン酸化した後、(T4ポリヌクレオチドキナーゼを使用して)放射性標識リン酸でタグ付けすることもできます。

ウシ由来アルカリホスファターゼ

ウシ腸由来ALPは、二量体の膜由来糖タンパク質です。1-3 少なくとも3つのアイソフォームが存在し、通常は単量体あたり2つのN結合型グリカンと1つ以上のO結合型グリカンを有します。2 酵素の活性には、亜鉛に加え、マグネシウムまたはカルシウムの二価イオンが必要です。4

本酵素は、アルコール、アミン、ピロリン酸、およびフェノールのリン酸エステルに対して幅広い特異性を持ち、タンパク質や核酸を脱リン酸化するために汎用されています。5-7

KM:1.5 × 10–3 M(p-ニトロフェニルリン酸)、19 × 10–3 M(ホスホエノールピルビン酸)

分子量2,3 140~160 kDa(二量体分子量)
E2781%:7.6~10.5
等電点4,8,9 pI範囲が4.4〜5.8のアイソザイム

至適pH:本酵素は、7.5〜9.5のpHで安定性が最も高くなります。3 酵素の活性に最適なpHはpH8~10です。至適 pHは、基質、基質濃度、およびイオン濃度に応じて変化します。8 本製品の酵素活性は、pH 9.8(ジエタノールアミン緩衝液酵素アッセイ)で測定されています。

アルカリホスファターゼの至適pHを示したグラフ

活性と安定性に対する温度の影響

アルカリホスファターゼの活性と安定性に対する温度の影響

ウシ由来アルカリホスファターゼ阻害剤

キレート剤、ヒ酸塩、システイン、ヨウ素、無機リン酸塩、ピロリン酸塩、リン酸ジイソプロピル、トリフェニルリン酸塩、フルオロリン酸ジイソプロピル、およびL-フェニルアラニン。9,10

レバミゾール(カタログ番号 L9756)は通常、腸内酵素をわずかに阻害すると同時に、内因性ALKP活性を阻害する目的で使用されます。11,12

アッセイプロトコル

  • ジエタノールアミンアッセイ
  • グリシンアッセイ pH 8.8
  • グリシン亜鉛アッセイ
  • グリシンアッセイ pH 10.4

ユニット定義:1 DEAユニットは、pH9.8および37℃の条件下で毎分1マイクロモルの4-ニトロフェニルリン酸を加水分解します。1グリシンユニットは約3 DEAユニットに相当します。

基質(pNPP)を用いたアルカリホスファターゼ反応

ALPは、牛乳やチーズなどの乳製品に対する低温殺菌の効果を測定するためにも使用されます。ALPは、約72℃の温度に15秒以上さらされると変性します。それほど極端でない温度条件でも、大半の牛乳由来病原体が破壊されることがわかっています。そのため、ALP活性は、低温殺菌の効果を測定するために使用できます。これまで、低温殺菌後のALP活性を調べるために、2通りの方法が用いられてきました。最初の方法は、フェノールを遊離して測定するScharer検査です。2番目の方法は、Aschaffenberg & Mullen検査と呼ばれ、p-ニトロフェノールの放出量を測定します。両方の検査で陰性の結果が出た場合は、ALP活性がなく、大半の牛乳由来病原体が破壊されていることを意味します。これと同じALP活性原理に基づいて、より感度の高い新しい手法が最近開発されました。

参考文献

1.
Hsu HH, Munoz PA, Barr J, Oppliger I, Morris DC, Vaananen HK, Tarkenton N, Anderson HC. 1985. Purification and partial characterization of alkaline phosphatase of matrix vesicles from fetal bovine epiphyseal cartilage.Purification by monoclonal antibody affinity chromatography. J. Biol. Chem..(260):1826~31.
2.
NEUMANN H, LUSTIG A. 1980. The Activation of Alkaline Phosphatase by Effector Molecules.A Combined Kinetic and Hydrodynamic Study. Eur J Biochem. 109(2):475~480. https://doi.org/10.1111/j.1432-1033.1980.tb04818.x
3.
Fosset M, Chappelet-Tordo D, Lazdunski M. 1974. Intestinal alkaline phosphatase.Physical properties and quaternary structure. Biochemistry. 13(9):1783~1788. https://doi.org/10.1021/bi00706a001
4.
Besman M, Coleman JE. 1985. Isozymes of bovine intestinal alkaline phosphatase. J Biol. Chem..(260):11190~3.
5.
Fernley H. 1971. 18 Mammalian Alkaline Phosphatases.417~447. https://doi.org/10.1016/s1874-6047(08)60378-9
6.
Morton RK. 1955. The substrate specificity and inhibition of alkaline phosphatases of cow's milk and calf intestinal mucosa. 61(2):232~240. https://doi.org/10.1042/bj0610232
7.
Morton RK. 1955. The action of purified alkaline phosphatases on di- and tri-phosphopyridine nucleotides. 61(2):240~244. https://doi.org/10.1042/bj0610240
8.
Latner AL, Parsons M, Skillen AW. 1970. Isoelectric focusing of alkaline phosphatases from human kidney and calf intestine. Enzymologia. 40(1):1~7.
9.
Lazdunski M, Brouillard J, Ouellet L. 1965. ÉTUDE DES EFFETS ÉLECTROSTATIQUES SUR LE MÉCANISME D'ACTION CATALYTIQUE DE LA PHOSPHATASE ALCALINE INTESTINALE DE VEAU. Can.J. Chem.. 43(8):2222~2235. https://doi.org/10.1139/v65-300
10.
Harlow E, Lane D. 1988. Antibodies: A Laboratory Manual. 1. New York: Cold Spring Harbor Larboratory Press.
11.
STAGNI N, VITTUR F, DEBERNARD B. 1983. Solubility properties of alkaline phosphatase from matrix vesicles. Biochimica et Biophysica Acta (BBA) - General Subjects. 761(3):246~251. https://doi.org/10.1016/0304-4165(83)90072-7
12.
van Belle H. 1972. Kinetics and inhibition of alkaline phosphatases from canine tissues. Biochimica et Biophysica Acta (BBA) - Enzymology. 289(1):158~168. https://doi.org/10.1016/0005-2744(72)90118-0
13.
Roger DM. 1938. Practical Experience with the Scharer Rapid Field Test for Pasteurization. Am J Public Health Nations Health. 28(11):1325~1327. https://doi.org/10.2105/ajph.28.11.1325

 

大腸菌由来アルカリホスファターゼ

大腸菌由来ALKPは、主に大腸菌のペリプラズムに存在すると想定されている二量体の非グリコシル化タンパク質です。少なくとも3つのアイソフォームが存在します。本酵素は亜鉛を必要とし、マグネシウムイオンによって活性化されます。1-3 ウシ由来酵素と同様に、大腸菌由来酵素はリン酸エステルに対して幅広い特異性を持ちます。1

KM:0.02 × 10–3 M(p-ニトロフェニルリン酸)4
分子量2 89 kDa(二量体分子量)
E2781%:7.6–10.52
等電点5 pI範囲が4.5のアイソザイム
至適pH:8.05

1.
Reid TW, Wilson IB. 1971. 17 E. coli Alkaline Phosphatase.373~415. https://doi.org/10.1016/s1874-6047(08)60377-7
2.
Anderson RA, Vallee BL. 1975. Cobalt(III), a probe of metal binding sites of Escherichia coli alkaline phosphatase.. Proceedings of the National Academy of Sciences. 72(1):394~397. https://doi.org/10.1073/pnas.72.1.394
3.
Savchenko A, Wang W, Vieille C, Zeikus J. 2001. [26] Alkaline phosphatase from Thennotoga neapolitana.298~305. https://doi.org/10.1016/s0076-6879(01)31067-4
4.
Boulanger RR, Kantrowitz ER. 2003. Characterization of a MonomericEscherichia coliAlkaline Phosphatase Formed upon a Single Amino Acid Substitution. J. Biol. Chem.. 278(26):23497~23501. https://doi.org/10.1074/jbc.m301105200
5.
Garen A, Levinthal C. 1960. A fine-structure genetic and chemical study of the enzyme alkaline phosphatase of E. Coli I. Purification and characterization of alkaline phosphatase. Biochimica et Biophysica Acta. 38470~483. https://doi.org/10.1016/0006-3002(60)91282-8

 

エビ由来アルカリホスファターゼ

エビ由来ALKPは、SDS-PAGEによって分子量が約58 kDaと決定された二量体タンパク質です。

エビ由来酵素は、他の由来の酵素よりも低い温度で変性します。そのため、反応後の熱不活性化ステップが必要となる場合に、DNAおよびRNAの脱リン酸化に使用することが推奨されています。

ログインして続行

続きを確認するには、ログインするか、新規登録が必要です。

アカウントをお持ちではありませんか?