ELISAトラブルシューティングガイド

酵素結合免疫吸着検査法（ELISA）を行うには、複数のアッセイ構成品とステップを必要とするため、トラブルシューティングと最適化が必要になることがよくあります。このトラブルシューティングガイドでは、アッセイ開発で生じる最も一般的な問題の原因とその解決策を記載しています。

問題	考えられる原因	解決策
シグナルが検出されない、または弱い	試薬の添加漏れ、添加順の間違い	すべての試薬が正しい順番で添加されているか確認してください。
	基質の調製を誤っている、あるいは不十分か使用する基質を誤っている	選択した基質が使用している酵素標識に適切かどうか確認してください（例えば、アルカリホスファターゼにはpNPP、ペルオキシダーゼにはOPDまたはTMBなど。基質選択ガイドも参照してください）。必要に応じて新しいH2O2を添加してください。
	過度な洗浄	可能なら自動プレート洗浄機を使用してください。洗浄バッファーに界面活性剤を用いないか、または界面活性剤の濃度を下げてください。
	インキュベーション時間が不適切	測定系に応じた適切なインキュベーション時間にしてください。一般的な基質の発色／発色時間は10～30分です。
	基質または標識酵素の活性が無い、または弱い	標識酵素と基質の活性試験を行ってください。
	酵素阻害剤が存在する	アジ化ナトリウムはペルオキシダーゼ反応を阻害します。
	プレートリーダーの設定が最適化されていない	プレートリーダーの波長とフィルターの設定を確認してください。
	アッセイ温度が不適切（低すぎる）	推奨温度でインキュベーションしてください。室温が低い場合はインキュベーターなどを使用してください。使用前に基質を室温に戻してください。
	基質の量が不適切	ピペットで添加した量が正しいことを確認してください。キャリブレーションされたピペッターを使用してください。
	コーティング溶液にブロッキングタンパク質が含まれている	コーティング溶液からブロッキングタンパク質を除去してください。
バックグラウンドが高い	交差反応が起こっている	検出抗体が捕集抗体と交差反応しています。適切なコントロール実験で確認してください。
	インキュベーション時間が長すぎる	インキュベーション時間を短くしてください。
	抗体の非特異的結合	適切なブロッキングバッファーを使用してください。
	標識二次抗体の濃度が高すぎる	希釈して至適濃度を決定してください。
	バッファーが汚れている	新しいバッファーを使用してください。
	アッセイ温度が不適切	インキュベーション温度が37℃を超えていなかったか確認してください。すべてのウェルが洗浄バッファーで満たされ、完全に吸引されていることを確認してください。可能なら自動プレート洗浄機を使用してください。
	洗浄が不適切	基質のみを含むサンプルを試験して、サンプル中に酵素活性が存在するか確認してください。
	サンプル中に酵素が混入している	すべてのウェルが洗浄バッファーで満たされ、完全に吸引されていることを確認してください。
発色が不均一	ウェルの洗浄が不完全	可能なら自動プレート洗浄機を使用してください。
検量線が不適切	ウェル内の液が完全に吸引されていない	各ステップにおいて、ウェル内を完全に吸引してください。可能なら自動プレート洗浄機を使用してください。
	インキュベーション中にプレートを重ねている	プレートを回転させない場合は、プレートを重ねないでください。
	ピペットの操作ミス、希釈倍率が不適切	ピペットの操作技術をチェックし、希釈の計算を確認してください。
	試薬の混合が不完全	試薬が完全に混合されていることを確認してください。
	試薬のプレートへの吸着が不十分または不均一	選択したコーティングバッファーを確認してください。通常はPBS（pH 7.4）または炭酸塩－炭酸水素バッファー（pH 9.6）です。インキュベーション時間を延長してみてください。別のプレートの使用をご検討ください。サンプルの均一性を確認してください。
	集捕抗体がプレートに結合していない	適切なELISAプレートを使用し、別のタンパク質を含まないPBSで希釈してください。
予想外の結果が出る	試薬の調製ミス、添加漏れ、添加順の間違い	試薬が適切に調製され、正しい順番で添加されているか確認してください。
	希釈ミス	ピペットの操作技術をチェックし、希釈の計算を確認してください。
	技術的な問題	正確な試薬の混合と洗浄ステップが重要です。
	不適切なELISAプレートの使用	蛍光検出を用いる場合は、適切なプレートを使用する必要があります。
バラツキが大きい	プレートコーティングが不均一	適切なELISAプレートを使用してください。コーティング量とブロッキング量を確認してください。
	洗浄が不十分または不均一	各ウェルを均一に洗浄してください。洗浄流路に障害物がないか確認してください。
	インキュベーション温度の変動	適切な手順に従ってください。プレートを熱源から遠ざけてください。