フッ化スルフェートおよびスルファモイルフルオリドは、ジアリールスルフェート、スルファミドおよびスルファメート化合物への重要な合成前駆体であることに加え、ケミカルバイオロジーや高分子科学にまで用途が広がっています。従来、フルオロスルフェートとスルファモイルフルオリドの合成には、スルフリルフルオリドガスを使用しなければなりませんでした。この反応には、有毒ガス状物質の調達の問題や、特別な専用反応器の必要性、ハンドリング時の安全対策の問題から、実際には使用が限られています。
PfizerとBioDuroの研究者により開発された、4-(acetylamino)phenyl]imidodisulfuryl difluoride (AISF, 901243) は、実験環境で安定な結晶性固体です。取扱いの難しいスルフリルフルオリドガスの代替となる、SO2F基を導入する有用な反応試薬です。
利点
- ベンチ安定性が高い結晶性固体で、フルオロスルフェートやスルファモイルフルオリド合成に使用可能
- 吸湿性が無い
- 特別な反応器を必要としない(有毒なスルフリルフルオリドガスの使用を避けられる)
- 温和な室温環境下で反応が進行
- 基質適用範囲が広い
一般的な反応方法:フェノールまたはアミン基質 (0.4 mmol) およびAISF (901243; 134mg, 0.48 mmol, 1.2 equiv.) を含有する1ドラムバイアルに、THF (2ml)、 続いて1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン (132uL, 0.88mmol, 2.2 equiv.) を30秒かけて添加。反応混合物を室温で10分間攪拌し、続けて酢酸エチルまたはエーテルで希釈し、0.5N 塩酸 (2回)および食塩水 (1回)で洗浄。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、減圧濃縮。残留物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにて精製。
その他の塩基や溶媒を用いた反応条件による検討結果:
フェノール類の1ポット反応への応用例:
AISFの水系反応条件化におけるペプチドの官能基化:
本スポットライト記事執筆にご協力いただいた、Chris am Ende研究員 (Pfizer)および、BioDuro研究チームの皆様に感謝申し上げます。
参考文献
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