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肺がんオルガノイドバイオバンク

肺がん患者由来オルガノイドとは?

肺がん患者由来オルガノイド(PDO)は、肺がん研究用モデルとして信頼性が高いことが実証されています。また、化学療法に対する患者の臨床的反応を予測することができます。PDOは、由来組織の生理機能と分子病態を保った、新規のin vitro3D細胞モデルです。従来の2D細胞株に代わる臨床により近いモデルとして改良された効果的なツールであり、動物モデルの使用を減らす手立てになります。成人組織由来オルガノイドは、iPSC由来オルガノイドよりも成熟した表現型を提示できます。これは、長期の培養でも表現型や遺伝子型が安定しているためです。

肺がんオルガノイドのアプリケーションは?

がん細胞死のうち最も多いのが肺がんです。肺がんの診断の中では非小細胞肺がん(NSCLC)が最も多く、肺がんの約85%を占めます。NSCLCには、主に3つのサブタイプがあります。  

  • 腺がん(肺がんの40%)は、肺の粘液分泌細胞によく見られます。
  • 扁平上皮がん(肺がんの25%~30%)は、肺気道の内側に並ぶ平らな細胞に生じます。
  • 大細胞がん(肺がんの10%~15%)は、円状で大きく、肺のあらゆる場所に生じる可能性があり、腺がんや扁平上皮がんよりも増殖と転移スピードが速い傾向があります。

肺がん研究向け患者由来オルガノイド

私たちは、6種類の腺がん(SCC600SCC601SCC602SCC603SCC604SCC606)および2種類の扁平上皮がん(SCC607SCC608)を含む由来が保証された各種のヒト肺がんオルガノイドをラインアップしています。これらの製品は、それぞれ腺がんおよび扁平上皮がんの患者由来です。

3dGRO®ヒト肺がんオルガノイドは、患者由来異種移植片(ゼノグラフト)、原発腫瘍または転移性がんの患者組織に由来します。パンサイトケラチンおよびEPCAMなどの主要な上皮マーカーを発現します。また、II型肺胞(AT2)細胞マーカーであるサーファクタントタンパク質SFTPBおよびSFTPC、繊毛細胞マーカーであるアセチル化α-チューブリンも発現します。私たちの腺がんオルガノイド株は、甲状腺転写因子1(TTF-1)、サイトケラチン7(CK7)、気道の杯細胞マーカーMUC5ACなど、主要な肺腺がんマーカーを発現します。さらに、私たちの腺がんオルガノイド株は、CK5/6やP63を含む扁平上皮がんマーカーを発現しません。扁平上皮がんオルガノイド株は、P63やCK5/6を含む扁平上皮がんマーカーを明確に発現し、腺がんマーカーであるサイトケラチン7(CK7)やTTF-1を発現しません。

3dGRO®オルガノイドは、HUB社のオルガノイド技術を利用して作製しました。この製品の購入者は、ご購入前にHUB社の利用規約に別途同意し、承諾する必要があります。

ヒト肺がんオルガノイドモデルと技術情報

  • 多様な性別・年齢・変異プロファイル
  • 複数の腫瘍の由来/組織サブタイプ
  • RNA-Seq(RNAシーケンス)情報あり
  • 少ない継代回数、高い生存率と増殖能力
  • 徹底した品質管理
腺房腺がん生検由来肺がんPDOの3D培養

A)腺房肺がんPDO

粘液腺がん生検由来肺がんPDOの3D培養

B)粘液肺腺がんPDO

固形腺がん生検由来肺がんPDOの3D培養

C)固形肺がんPDO

図1(A~C).ヒト肺がんオルガノイドさまざまなNSCLC肺腺腫瘍生検に由来する肺がんPDO。3D細胞培養により独特の形態を示す。 

腺房/乳頭状3dGRO®ヒト肺がんオルガノイドの組織・形状の比較

マトリゲル中のオルガノイド
6継代目のXDO.137オルガノイド
スケールバー=100 μm

腺房/乳頭3dGRO®ヒト肺がんオルガノイドの組織・形状の比較

組織染色(ヘマトキシリン・エオシン)
XDO.137オルガノイド(左)と由来組織(右)
スケールバー=100 μm

図2.3Dで培養した肺がんオルガノイドと由来組織の比較。3dGRO®ヒト肺がんオルガノイド(XDO.137)(SCC604)を3Dで培養した6継代目(左)と由来組織(右)の腺房/乳頭の組織・形状の比較

主要上皮マーカーに陽性の肺がんオルガノイドの顕微鏡画像

図3.ヒト肺がんオルガノイドの免疫細胞染色(ICC)による特性評価。肺がんオルガノイドは、(A)EPCAM、(B)パンサイトケラチン、(C)アセチル化α-チューブリン、(D)Muc5AC、(E)サーファクタントタンパク質B(SFTPB)、(F)サーファクタントタンパク質C(SFTPC)、(G)TTF1および(H)P63タンパク質を発現する。

ヒト肺がんオルガノイドを用いた薬物細胞毒性スクリーニング。

図4.ヒト肺がんオルガノイドを用いた薬物細胞毒性スクリーニング。RAS変異は、ヒトがん全体の約30%に見られ、KRASが最も頻度の高い変異ファミリーメンバーである。肺がんオルガノイドの細胞毒性は、さまざまなNSCLCオルガノイド(104細胞/ウェル)をMEK阻害剤Trametinibにばく露した後、測定した。その結果、Trametinibに対する感受性は、KRASが変異したXDO344およびLPTO85(XDO344、IC50 0.04 μM;LPTO85、IC50 0.06 μM)のほうが、野生型KRAS LPTO54(LPTO54、IC50 0.25 μM)よりも高いことが判明した。

参考文献

1.
Shi R, Radulovich N, Ng C, Liu N, Notsuda H, Cabanero M, Martins-Filho SN, Raghavan V, Li Q, Mer AS, et al. 2020. Organoid Cultures as Preclinical Models of Non-Small Cell Lung Cancer. 26(5):1162-1174. https://doi.org/10.1158/1078-0432.ccr-19-1376
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