SMCxPRO®プラットフォーム:ベストプラクティス
SMCxPRO®システムは、Erenna®イムノアッセイシステムの次世代のシステムで、メルク独自の1 分子カウント(SMC®)技術を採用し、高感度バイオマーカー定量のニーズに応えます。SMCxPRO®システムには、流路系フリー、迅速な解析、コンパクト設計などの利点があります。使いやすく、21CFR Part IIに準拠し、LIMSにも対応しています。基本的なシステムのメンテナンスガイドライン、Aurora読み取りプレートの取り扱い、 SMC®アッセイの一般情報など、SMCxPRO®システムの使用に関するベストプラクティスをご確認ください。
SMCxPRO®システムに関する推奨事項
SMCxPRO®システムは、背後の壁から約30cm以上離して設置し、適切に排気できるようにしてください。また、振動を発生させる機器と同じ実験台に設置しないでください。1日の初めにシステムの電源を入れるときは、使用前に90分間のウォームアップを行ってください。
使用開始時にASSISTアプリケーションを実行して、SMCxPRO®システムとその周辺機器が許容範囲内で動作していることを確認してください。気流があったり長期間使用しなかった場合、ASSIST Thermal Stability Test がFailとなることがあります。このような場合は、システムを30分間アイドリングした後、すべてのASSISTテストを再び実行してください。
ASSIST診断では、車のエンジン警告灯と同様に、通常のデータ収集には関与しない一部の周辺機器もテストします。SMCxPRO®システムでInstrument Temperature以外のASSISTパラメータがFailとなった場合は、テクニカルサポートチームまたはフィールドアプリケーションサイエンティスト(FAS)にご連絡ください。お急ぎの実験の場合は、キャリブレータープレートのテストにパスすれば、システムを引き続き使用することができます。
システムを使用する際は、毎朝SMCxPRO®システムのキャリブレーションを行ってください。
動画:SMCxPRO®システムのセットアップ・キャリブレーション方法
この動画でSMCxPRO®システムのセットアップとキャリブレーションを簡単にステップごとに説明します。
Aurora読み取りプレートの取り扱い方法
SMC®アッセイは、プロトコルの最後まで96ウェルのAxygenプレートで調製します。その後、溶出および中和済みのサンプルを384ウェルプレートに移し、シグナルの取得を行います。Aurora 384ウェルプレートは、SMCxPRO®システムに対応する唯一の384ウェルプレートです。各プレートには黒色の蓋が付属しており、プレートの下に置くことで、傷、指紋、ほこり、ごみからウェル底を保護します。包装から取り出したらすぐにAuroraプレートのウェルを覆い、外気、糸くず、ほこりに曝されるのを最小限に抑えてください。
SMCxPRO®システムの読み取りプレートには、アルミ粘着シールのみを使用してください。透明のアクリルシールは遮光性がないため、Auroraプレートには使用しないでください。システム内部の塗装が反射してシグナルの取得を妨げます。
図1.SMCxPRO®システムで読み取るAuroraアッセイプレートに必要なアルミ粘着シール
精度良くシグナル取得を行うには、読み取りプレートを完全かつ均一にシールすることが重要です。ウェルが完全にシールされていないと、ウェルから溶液が蒸発して隣接するウェルで結露を生じる可能性があります。
ウェルの完全なシールを行う方法は以下のとおりです。
- 推奨のアルミ粘着シールとプレートローラーを使用してください
- シールの裏紙を剥がし、折り目、しわ、ねじれが生じないように、シールを384ウェルプレートの中央に合わせて置きます
- プレート上のシール全体を指で押さえて固定します。次に、プレートローラーをプレート全体に転がして、完全にシール します:
- まず、プレートの垂直方向に
- 次に、水平方向にプレートローラーを転がします
- 片方の手でプレートを押さえ、もう片方の手でプレートローラーを傾け、シリコンパッドの柔らかい角を使用し、プレートの端から端まで、垂直方向、水平方向に移動させます
- 外側のウェルとプレートフレームの境界と角の部分には細心の注意を払ってください
- すべてのウェルがくぼんだように見え、ウェルの縁とウェル壁の角がはっきりと見えるよう、完全にシールされていることを確認してください
サンプルが入ったAuroraプレートをTray Load Portalにしっかりと慎重に置き、プレートの四隅がしっかりセットされていることを確認してください。ウェルのスキャン中にプレートが傾いていると、データ収集に支障をきたし、ソフトウェアがエラーを表示することがあります。
また、プレートをシステムにセットする前に、アルミ粘着シールのミシン目の入ったサイドストリップを剥がしてください。プレート位置のずれによるシグナル取得のエラーを防ぎます。
毎回の読み取り後にAuroraプレートをパルスで遠心し、読み取りの間に蒸発・結露した溶液を落とします。Aurora読み取りプレートは、ウェル内で溶液が飛び散らないように慎重に取り扱ってください。
SMC®アッセイに関するFAQ
安定してシグナルを検出するにはどうしたらよいですか?
安定した再現性のあるRESPONSEシグナル取得と測定内精度(intra-assay precision)を確保するためには、イムノアッセイ複合体を完全に溶出・中和することと、サンプルをAurora読み取りプレートに適切に移すことが重要です。中和ステップの詳細は、キットのプロトコルに記載されています。
中和済みの溶出液をAurora読み取りプレートに移す際には、シグナル検出を阻害する可能性のある気泡が生じないように注意してください。P20マルチチャネルピペットを用いてゆっくり吸引、分注してください。気泡が残っている場合は、読み取りプレートのシールを行う前に、P1000ピペットを用いて気泡を消してください。
ウォームアップ時間をスキップすることはできますか?
SMCxPRO®ソフトウェアで測定を開始した後、SMCxPRO®システムは読み取りプレートを短時間ウォームアップして、システムの動作温度と一致させます。温度が異なると望ましくないシグナルのドリフトを引き起こす可能性があるため、このウォームアップ時間をスキップすることはお勧めしません。
SMC®アッセイは複数回読み取ることができますか?
SMC®は、SMCxPRO®システムで複数回読み取ることができます。読み取りの間に蒸発・結露した溶液を回収するために、Auroraプレートをパルスで遠心し、光退色を避けてください。
溶出液を保存するにはどうすればよいですか?
ほとんどのSMC®アッセイの溶出液は、シールして上向きのまま、4℃で一晩保存、またはー80℃で凍結保存できます。結果の整合性を維持するため、溶出液の入ったプレートは静かに取り扱い、すべてのウェルのシールを確認し、パルスで遠心してから保存してください。さらに、プレートを保護するために、気泡緩衝シートで包み、ジップロックに入れて保存することもできます。
4℃で保存した後は、読み取り前に必ずAuroraプレートを室温に30分~1時間置いて、読み取り中にウェル内で急激に温度が上昇するのを避けてください。
研究目的での使用に限定されます。診断目的では使用しないでください。
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