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免疫学マルチプレックスアッセイ:より多くの免疫バイオマーカーをより迅速にプロファイル

免疫学マルチプレックスアッセイにより、数十種類のアナライトの発現を同時に、迅速かつ高感度で調べることができます。

免疫学マルチプレックスアッセイの描写

免疫学マルチプレックスアッセイ

サイトカインなどのタンパク質の定量は、炎症、敗血症、自己免疫疾患、循環器疾患、メタボリックシンドローム、神経疾患、がんなどの病態を理解する上で重要です。私たちは幅広いラインナップで業界屈指の免疫学マルチプレックスパネルを提供しています。サイトカイン、ケモカイン、成長因子、可溶性サイトカイン受容体、チェックポイントタンパク質、補体タンパク質、自己免疫抗体、組織メタロプロテアーゼ阻害剤(TIMPs)、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)、敗血症関連タンパク質、皮膚バイオマーカーおよび免疫グロブリンを測定するキットがあります。主なアナライトを表 1に記載します。

表1.MILLIPLEX® マルチプレックス免疫学アッセイの主な免疫バイオマーカーのアナライト。MILLIPLEX® マルチプレックスキットおよびアナライトのすべてのリストは、最新のAnalyte Quarterlyをご覧ください。

Luminex® xMAP®テクノロジーをベースにしたMILLIPLEX® マルチプレックス免疫学アッセイによって、疾患とその背景にあるプロセスをマルチパラメーターで正確に解析できます。

免疫バイオマーカーのマルチプレックスアプリケーション

免疫バイオマーカーのマルチプレックスには多くのアプリケーションがあります。それには以下のようなものがあります。

以下に、免疫学研究におけるマルチプレックス免疫学アッセイの使用例を紹介します。

サイトカイン・ケモカイン・成長因子

サイトカインは、免疫応答の認識、活性化、エフェクター相で作用し、T細胞、B細胞、骨髄系細胞の分化と機能活性を調節します。免疫学マルチプレックスアッセイを用いて、サイトカイン、ケモカイン、成長因子を定量することにより、免疫系に関連するさまざまな病態を理解することができ、研究を発展させます。マルチプレックスにより、研究者は複数のアナライトを同時に測定することができ、時間、サンプル、リソースを節約することができます。これは、多数の免疫バイオマーカーが異なる経路で役割を担っている免疫学研究にとって特に重要です。

最新のMILLIPLEX® Human および Non-Human Primate Cytokine/Chemokine/Growth Factorマルチプレックスパネルについての詳細はこちらをご覧ください。

補体系

補体系には3つの経路があります。

  • 古典的経路:抗原抗体複合体によって活性化
  • 代替経路:病原体の細胞表面の接触で活性化
  • マンノース結合レクチン(MBL)経路:病原体の細胞表面にのみ存在するマンノース糖を認識して活性化

サンプル中の複数の補体タンパク質の濃度を定量し、補体プロファイルを決定することができれば、炎症シグナル伝達や自然免疫応答における変化をより正確に評価できます。MILLIPLEX® Human Complement Panelを使用することで、血清または血漿中の13の主要な補体タンパク質の濃度を同時に測定することができます。これらのパネルのアナライトデータの例を図1に示します。

Human Complement Panel 2を用いた健常者の血清/血漿中の補体濃度(n=17)を示すグラフ

図1.Human Complement Panel 2を用いた健常者の血清/血漿中の補体濃度(n=17)

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免疫応答と敗血症バイオマーカー解析

免疫応答は恒常性を維持するために重要ですが、細菌、ウイルス、真菌、寄生虫などの感染に対する過剰な応答は、敗血症と呼ばれる制御不能の炎症反応を引き起こすことがあります。この感染に対する過剰な応答は、敗血症バイオマーカーの上昇や、リンパ系器官のアポトーシス亢進による免疫抑制など、制御不能な炎症反応を通して恒常性を中断させます。重度の敗血症や全身性炎症反応症候群(SIRS)は、敗血症ショック、多臓器不全症候群(MODS)を引き起こし、死に至ることもあります。MILLIPLEX® Human Sepsis Panelは、敗血症に関与する炎症性バイオマーカーの役割を解明するのに役立ちます。

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ヒトおよびマウス免疫グロブリンのアイソタイピング

形質細胞やリンパ球によって産生される免疫グロブリン(Ig)は、抗原に付着してその排除に関与するなど、免疫応答において重要な役割を担っています。免疫グロブリン(Ig)は、構造の違いにより機能および抗原反応が異なるクラス(アイソタイプ)に分類されます。IgM、IgG、IgA、IgE、IgDの5つが主なアイソタイプで、いずれも健常者に見られます。自己免疫疾患、消化器疾患、悪性腫瘍の中には、特定のアイソタイプの欠損、または1つ以上のアイソタイプの濃度変化によって特徴付けられるものもあります。病態は、1つのアイソタイプクラスまたはサブクラスの欠損から、Igクラスの完全な欠損まで、さまざまです。

MILLIPLEX® Isotyping Kitを使用することで、研究者はIgクラスとサブクラスを同時に定量することができます。xMAP®マルチプレックステクノロジーは、これらのアイソタイプの測定に理想的です。アッセイ回数や必要なサンプル量を減らせるだけでなく、複数のアッセイを行うことで生じる不正確さも大幅に減らすことができます。

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線維症

繊維症とその関連疾患は、世界中で罹患率と死亡率を増加させています。MILLIPLEX® Fibrosis Panel 1 により、研究者は特発性肺線維症、肝線維症、肺線維症など(これらに限定されない)の線維性疾患に関連する複雑なプロセスを理解することができます。図2に本パネルのアナライトデータの例を示します。

MILLIPLEX® Fibrosis Panel 1の各アナライトの血清・血漿中濃度を示すグラフ。健常者(n=20)、全身性エリテマトーデス(SLE、n=7)、強皮症(n=10)、シェーグレン症候群(n=4)、関節リウマチ(n=4)、嚢胞性線維症(n=5)、肺線維症(n=5)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH、n=6)。

図2.血清・血漿中の各アナライトの濃度(カタログ番号HFIB1-100K)。健常者(n=20)、全身性エリテマトーデス(SLE、n=7)、強皮症(n=10)、シェーグレン症候群(n=4)、関節リウマチ(n=4)、嚢胞性線維症(n=5)、肺線維症(n=5)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH、n=6)。

共同研究者インタビュー

バージニア大学(UVA)医学部感染症科の研究ラボ技師、Mary Youngの画像。

図3.Mary Young、バージニア大学(UVA)医学部感染症科の研究ラボテクニシャン。

Mary Youngは、バージニア大学(UVA)医学部感染症科の研究技師です。Maryは、イーロン大学で生物学の理学士号を取得しました。その後、研究技師として Petri Lab に加わり、主に C. difficile 感染に対するヒトの免疫応答のに焦点を合わせた複数のプロジェクトに携わっています。2020年3月にバージニア州でパンデミックが起きた際、MaryはUVAでCOVID-19感染の検査を受けた患者の血漿のバイオレポジトリの確立を手伝い、SARS-CoV-2に対するヒトの免疫応答に注力しています。

ラボの研究テーマについて簡単に説明してください。
Petri Labは Entamoeba histolytica、Clostridioides difficile、  Cryptosporidiosisなどの消化器系感染症の病因と宿主免疫応答に注力しています。また、バングラデシュのICDDR, B(International Centre for Diarrhoeal Disease Research, Bangladesh)と提携し、これらの腸管感染症が小児期の発達に与える影響も研究しています。免疫学ラボとしての専門性を生かし、私たちはCOVID-19の研究に素早く移行することができました。

最新のCOVID-19の研究や、COVID-19に関連する論文について説明してください。
現在、私たちはCOVID-19に焦点を当てたいくつかのプロジェクトを行っています。ちょうどバージニア州でパンデミックが起きた3月に、UVAでCOVID-19の検査を受けた患者の血漿サンプルのバイオレポジトリを立ち上げることができました。これらのサンプルを使って、サイトカイン、ケモカイン、抗体、代謝産物を測定しました。また、COVID-19マウスモデルを確立し、ヒトの臨床症状を引き起こす生物学的プロセスをより理解するための研究を行っています。

COVID-19の研究に MILLIPLEX® アッセイを選んだ理由は何ですか?
マルチプレックスアッセイは、特にCOVID-19のような新しい病気について、新しい研究を行うときに非常に有用です。MILLIPLEX® アッセイの実証された特異性と感度を信頼していたので、貴重なサンプルを無駄にすることはないだろうと考えました。

MILLIPLEX® Human Cytokine/Chemokine/Growth Factor Panel A と新しい MILLIPLEX® SARS-CoV-2 Antigen Panelsを使用し、75μL以下の血漿で48種類のサイトカインと12種類のSARS-CoV-2抗原の測定が可能となりました。

MILLIPLEX® アッセイを使用することで、研究・ワークフローにどのような利点がありますか?
MILLIPLEX® アッセイは、一度に複数のターゲットを測定できるため、貴重な時間とサンプルを節約することができます。また、血漿サンプルの解凍は1回で済むため、サンプル分解のリスクも軽減されます。

他にどのような研究が行われていますか?
今年はCOVID-19に重点を移しましたが、 Entamoeba histolytica、Clostridioides difficile、  Cryptosporidiosisに関連するプロジェクトは継続して行っています。私たちのラボでは最近、 C. difficile 感染症における2型免疫と予後予測、腸内細菌によるアメーバ症に対する感受性の制御、 E. histolytica 感染症における2型免疫などの論文を発表しました。

研究上の課題を解決できるとしたら、それは何でしょう?
研究に対する世論と社会の認識です。一般に認知されていなかったり、関心がなかったりすれば、命を救う薬に必要な基礎研究のサポートを得ることは非常に困難です。病気の治療法を見つけるには何年もかかりますし、派手な成果物がないとサポートを得るのは難しいです。基礎研究や研究プロセスを理解することが重要だと考えるだけでなく、より多くの人々がSTEM分野に進むきっかけにもなるかもしれません。

パンデミックの間、どのように過ごしていますか?
愛犬と多くの時間を過ごしています!シャーロッツヴィル市のすべてのドッグトレイルを探索しています。ほとんどの犬がそうであるように、パンデミックの間、私が長く家にいることをとても喜んでいると思います。

Mary Young とPetri Labの最新の論文:

  • Young MK, Kornmeier C, Carpenter RM, Natale NR, Sasson JM, Solga MD, et al. IgG Antibodies against SARS-CoV-2 Correlate with Days from Symptom Onset, Viral Load and IL-10. medRxiv 2020.12.05.20244541; https://doi.org/10.1101/2020.12.05.20244541
  • Sasson JM, Campo JJ, Carpenter RM, Young MK, Randall AZ, Trappl-Kimmons K, et al. Diverse Humoral Immune Responses in Younger and Older Adult COVID-19 Patients. mBio 12:e01229-21; https://doi.org/10.1128/mBio.01229-21
  • Donlan AN, Sutherland TE, Marie C, Preissner S, Bradley BT, Carpenter RM, et al. IL-13 is a driver of COVID-19 severity.JCI Insight.2021;6(15):e150107; https://doi.org/10.1172/jci.insight.150107

研究目的での使用に限定されます。診断目的では使用しないでください。

 

主な免疫学関連キット

主なMILLIPLEX® 免疫学キットをご確認ください。

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