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MILLIPLEX® Mouse High Sensitivity T Cell Multiplex Panelの生物学的評価

炎症は多くの病態に関与することから、サイトカイン発現の評価は研究において重要です。低レベルのサイトカイン発現を調べ、複数のサイトカインを同時に定量するための、MILLIPLEX®Mouse High Sensitivity T Cell Multiplex Panelの評価方法について紹介します。

炎症とサイトカインの役割

低レベルの炎症は、自己免疫疾患、代謝性疾患、およびがんなどの多くの臨床病態や無症候性病態に関与します。したがって、低レベルのサイトカイン発現を調べる研究は、免疫系とその抗原に対する多面的応答、特に免疫細胞が介する炎症プロセスの応答を解明するために重要な役割を果たしています。ピコグラムレベルのサイトカインを測定することは、これらの発症機序を理解するうえで重要です。マウスなどのモデル生物には、サンプルの採取量や低濃度のサイトカイン検出という固有の課題があります。

高感度T細胞マルチプレックスマウスパネルの評価

マウス高感度T細胞パネルマルチプレックスアッセイは、Luminex® xMAP®テクノロジーを用いて18種のマウスサイトカインを同時に測定するために開発されました。PMA-、PHA-、LPS-、Con-Aまたはカルシウムイオノフォアで刺激した末梢血単核細胞(PBMC)培地サンプルを用いたin vitro、およびLPSを投与したマウス、肥満マウスモデル、および老齢マウスモデルの血清サンプルを用いたin vivoの両方について、25 μLのサンプルで18種のマウスサイトカインの濃度を解析しました。

一般に、マウスPBMCのin vitro刺激に対する応答は、サイトカイン分泌レベルが低いため測定が困難です。MILLIPLEX® Mouse High Sensitivity T Cell Panelを使用することにより、明らかに異なる刺激依存性サイトカイン応答が観察されました。またこのパネルは、LPSを投与したマウス(炎症の早期発症)、肥満マウス(OB/OBおよびDB/DB)および老齢マウスモデル(幼若マウスと老齢マウスのサイトカインプロファイルの比較)を用いたin vivoにおいても低濃度の血清サイトカインを検出しました。

イムノアッセイプロトコル

96ウェルプレートでマルチプレックスアッセイを実施しました。詳細な手順は次のとおりです。

  • 150 μLのwash bufferでプレートを10分間湿らせてから、デカントで溶液を廃棄します。
  • 50 μLのスタンダード、または25 μLのサンプルと25 μLのassay bufferを添加します。
  • 25 μLのビーズをすべてのウェルに添加してから、4℃で一晩インキュベーションします。
  • ビーズを3回洗浄してから50 μLのビオチン化検出抗体を添加し、室温で1時間インキュベーションします。
  • 50 μLの Streptavidin-Phycoerythrinを添加してから、さらに室温で30分間インキュベーションします。
  • ビーズを3回洗浄し、150 μLのシース液を添加してから、Luminex®システム(この場合はLuminex® 200™システム)で測定します。

評価結果

標準曲線

MILLIPLEX® Mouse High Sensitivity T Cell Panelから得られた標準曲線の詳細を、表1および図1に示します。

表1.MILLIPLEX® Mouse High Sensitivity T Cell Panelの全18種のアナライトに対する標準曲線のレンジ、感度、精度、確度、および直線性

MILLIPLEX<sup>&reg;</sup> Mouse High Sensitivity T Cell Panelの全18種のアナライトに対するMFI値および標準曲線を示すグラフ。

図1.MILLIPLEX® Mouse High Sensitivity T Cell Panel 全18種のアナライトに対する標準曲線


マウスPBMC中のアナライトの検出

表2に示すように、高感度パネルはマウスPBMC培養液中の低濃度のアナライトを検出できました。

表2.MILLIPLEX® Mouse High Sensitivity T Cell Panelは、マウスPBMC培養液中の低濃度の測定項目を検出。PBMC(Bioreclamation)を解凍、洗浄し、さらに10% FCSと1% Penicillin/ Streptomycinを含む RPMI培地(Gibco)で106 cells/mLになるように再懸濁した。PBMCを106 cells/well でウェルに分注し、37℃で一晩インキュベーションした。翌日、PMA、A23187、LPS、Con A、PHA、またはすべてをそれぞれ終濃度0.025、0.01、1、5、または20 μg/mLで添加した。さまざまな時点で培地を回収し、15,000 RPMで10分間遠心分離し、マルチプレックスでアッセイするまで細胞上清を-80℃で保存した。


In vivo LPS投与後の血漿サイトカイン濃度

In vivo LPS投与したマウス血漿レベルのデータを図2に示します。

in vivo LPS投与したマウス血漿サンプルにおけるMILLIPLEX<sup>&reg;</sup> Mouse High Sensitivity T Cell Panelの性能データ。in vivo LPS投与したマウス血漿サンプルを、Bioreclamationから入手した。E. coli 055:B5 LPSを生理食塩水で1 mg/mLになるように懸濁し、1 mg/kgでCD-1マウスに腹腔内投与(IP)した。さまざまな時点で、約0.5 mLの血漿(EDTAナトリウム)を各マウスから採取し、マルチプレックスでアッセイするまで-80℃で保存した。

図2.In vivo LPS投与したマウス血漿サンプルを、Bioreclamationから入手した。E. coli 055:B5 LPSを1 mg/mLになるように生理食塩水で懸濁し、1 mg/kgで CD-1マウスに腹腔内投与(IP)した。さまざまな時点で、約0.5 mLの血漿(EDTAナトリウム)を各マウスから採取し、マルチプレックスでアッセイするまで-80℃で保存した。


糖尿病マウスモデル

糖尿病マウスモデルにおいてマルチプレックスパネルを使用して得られたデータを図3に示します。

糖尿病マウスモデルにおけるMILLIPLEX<sup>&reg;</sup> Mouse High Sensitivity T Cell Panelの性能データ。OB/OB肥満マウスは、空腹感を抑制するホルモンのレプチンを産生できない。DB/DB糖尿病肥満マウスでは、レプチン受容体が不活性である。OB/OB、DB/DB、およびC57Bl/6コントロールマウスを、Bioreclamation IVT, Westbury, NYから入手した。

図3.糖尿病マウスモデルのデータ。OB/OB肥満マウスは、空腹感を抑制するホルモンのレプチンを産生できない。DB/DB糖尿病肥満マウスでは、レプチン受容体が不活性である。OB/OB、DB/DB、およびC57Bl/6コントロールマウスを、Bioreclamation IVT, Westbury, NYから入手した。


老齢マウスモデル

老齢マウスモデルにマルチプレックスパネルを使用して得られたデータを図4に示します。

老齢マウスモデルにおけるMILLIPLEX<sup>&reg;</sup> Mouse High Sensitivity T Cell Panelの性能データ。C57Bl/6コントロールマウスを、Bioreclamation IVT, Westbury, NYから入手した。幼若マウスは4カ月で、老齢マウスは20~22カ月だった。

図4.老齢マウスモデルのデータ。C57Bl/6コントロールマウスを、Bioreclamation IVT, Westbury, NYから入手した。幼若マウスは4カ月で、老齢マウスは20~22カ月だった。


MILLIPLEX®マウスパネルによる強力なサイトカインプロファイリング

MILLIPLEX® Mouse High Sensitivity T Cell Panelは、低レベルのサイトカイン発現を調べるだけでなく、複数のサイトカインを同時に定量するための、「必要不可欠」な検証済みアッセイを提供します。このパネルは、18種の組み合わせ可能なマウスサイトカインアッセイで、必要なサンプル量はわずか25 μLです。

ここに示す代表的なデータは、本キットを用いて関連するサイトカインバイオマーカーを測定した値で、刺激PBMCのin vitro試験と、LPS投与した初期段階の炎症モデル、および代謝性疾患モデルと老齢モデルを用いたin vivo試験の両方のデータです。MILLIPLEX® Mouse High Sensitivity T Cell Panelは、生物サンプルにおけるサイトカインプロファイリングのための強力なツールです。

実験動物、コンパニオンアニマル、および畜産動物用のマルチプレックスアッセイの詳細については、獣医学およびアニマルヘルス研究におけるマルチプレックスをご覧ください。


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