qPCRリファレンス遺伝子選択プロトコル
qPCR条件の最適化
qPCR条件の最適化は、確実性の高いあるアッセイを開発する上で重要です。最適化が十分でないと、反復間の再現性がなく、非効率的で感度の低いアッセイとなります。2つの主要なアプローチとして、プライマー濃度またはアニーリング温度、あるいはその両方の最適化が挙げられます。
遺伝子発現データの解析には、安定的なリファレンスまたはローディングコントロールが必要です。通常は、1つ以上のリファレンス遺伝子をリファレンスとして使用します適切なリファレンス遺伝子は、サンプルの相違や実験上の処理に影響されません。また、リファレンス遺伝子は、実験モデルごとに選定しなければなりません。試験的に用いて安定的なリファレンス遺伝子を選択する場合は、その遺伝子をさまざまな生物学的経路から選択し、発現が独立的に制御されることが重要です。理想的にはすべてのリファレンス遺伝子候補を、5つのテスト試料と5つのコントロール試料からなるグループに対してテストします。
器具
- 定量PCR用機器
- PCRセットアップのためのクリーンベンチ(オプション)
試薬
- 1:100に希釈されたcDNA(通常、高発現のリファレンス遺伝子を検出するには、これよりも薄いcDNAで十分です。発現量が中程度の遺伝子の場合は、1:10の希釈率を使用してください)。
- KiCqStart® SYBR®グリーンReadyMix™(機器に対応したシグマKCQS00/KCQS01/KCQS02/KCQS03があります。表P4-6を参照してください)。
- PCRグレード純水:PCRグレード純水(W1754またはW4502)を20 mLのアリコートに小分けして凍結します。各反応には新しいアリコートを使用します。
- 試験用リファレンス遺伝子のためのフォワードおよびリバースプライマー(10 µMの保存溶液)。注記:適切な遺伝子は表P15-37に示すとおりです。これらの遺伝子は、表に示す設計済みアッセイのKiCqStart®プライマーとして入手できます(プライマーの配列は製品の納品時に提供されます)。
消耗品
- 滅菌済みフィルターピペットチップ
- 滅菌済み1.5 mLねじ蓋式微量遠心チューブ(CLS430909)
- PCRチューブおよびプレートは、目的とする形式に合ったものを選択してください。
• 個別の薄肉200 µL PCRチューブ(Z374873またはP3114)
• プレート
- 96ウェルプレート(Z374903)
- 384ウェルプレート(Z374911)
• プレートシール
- ThermalSeal RTS™シーリングフィルム(Z734438)
- ThermalSeal RT2RR™フィルム(Z722553)
注意事項
- cDNAは、ランダムプライミングとオリゴdTプライミングを組み合わせたReadyScript® RTキットを使用して生成されます(「標準的な逆転写プロトコル(2ステップ)」と「逆転写」を参照)。
- PCRプレートを使用する場合は、プレート概略図に従い、反応ミックス、試料およびコントロールが正しいウェルに添加されるようにします。
- リファレンス遺伝子になりうる広範囲の遺伝子をテストします。これらの遺伝子は、異なる機能的な遺伝子経路で発現されなければなりません。モデル有機体になりうるKiCqStart® SYBR®プライマーの選定については、
表P15-37に記載するとおりです。OligoArchitectは、代替プライマー設計のための適切なデザインツールです(「OligoArchitect™アッセイデザイン」および「PCR/qPCR/dPCRアッセイデザイン」を参照)。
方法
1. 各リファレンス遺伝子に必要な反応の回数を計算します。1サンプルあたり2回の反応に十分な量の
ミックスを調製します。たとえば、テスト試料とコントロール試料がそれぞれ5つあり、テンプレートなしのコントロール(NTC)が2つある場合は、22回分の反応液を調製します。ピペッティング
エラーを想定し、10%多めに計算します。
2. 表P15-38に従い、各リファレンス遺伝子プライマーペアのqPCRマスターミックスを調製します。cDNAを
マスターミックスに添加してはなりません。十分に混合し、気泡の発生を防ぎます。
3. マスターミックス15 µLを所定のチューブ/ウェルに添加します。
4. 適切なテンプレート5 µL(試料またはNTC用の水)を所定のチューブ/ウェルに添加します。
5. チューブにキャップを被せるか、またはプレートをシールで封じ、ラベル付けします(ラベルが機器の励起/検出光路を覆い隠さないように注意してください)。
6. 下記の3ステッププロトコル(表P15-39)に従い、反応をランします。ステップ1~3を40サイクル繰り返します。
7. データを解析して、最も安定的なリファレンス遺伝子または遺伝子の組み合わせを選定します。
注記:標準解離曲線のプロトコル(データ収集)を使用してください。
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