卵・鶏肉・マヨネーズ中のフィプロニル・フィプロニルスルホンの分析
Katherine Stenerson
フィプロニルは、欧州連合(EU)1では食用動物への使用が許可されていない殺虫剤です。フィプロニルスルホンはフィプロニルの分解により形成され、親化合物よりも鳥類やその他の生物に対する毒性が強い物質です2。
EUが定めた卵中残留フィプロニルの基準値は、親化合物とスルホン分解物の合計5 ng/g(0.005 mg/Kg)です。
本アプリケーションでは、マトリックスマッチド検量線に対して定量した添加試料にQuEChERS抽出とクリーンアップ(図1)を行った後、GC/MS/MS分析(条件については表1参照)しました。内部標準物質を使用しなかったため、報告した回収率は絶対値です。
![試料調製手順、QuEChERS抽出、およびZ-Sep+によるクリーンアップ 試料調製手順、QuEChERS抽出、およびZ-Sep+によるクリーンアップ](/deepweb/assets/sigmaaldrich/marketing/global/images/technical-documents/protocols/analytical-chemistry/quechers/sample-preparation-fipronil-sulfone/sample-preparation-fipronil-sulfone.jpg)
図1. 試料調製手順、QuEChERS抽出、およびZ-Sep+によるクリーンアップ
抽出物のクリーンアップに使用したSupelTM Que Z-Sep+は、共抽出された脂肪性化合物(コレステロールを含む)の濃度を大幅に減少させることが分かりました。図2に、Z-Sep+でのクリーンアップ後に減少したバックグランドを示します。フィプロニルおよびフィプロニルスルホンと同じ保持範囲で溶出した脂肪酸がZ-Sep+クリーンアップで除去され、両化合物のクリーンなシグナルが最終抽出物中に5 ng/mLで得られました(図3)。この方法の回収率と再現性は良好でした(表2)。この方法を鶏肉とマヨネーズにも適用しました。GC法の耐久性試験では、卵試料抽出物を70回超繰り返して注入しました。試験中のシグナル変化率はわずか12%でした。
カラム: | SLB®-PAHms, 30 m x 0.25 mm I.D., 0.25 μm (28340-U) |
オーブン: | 50°C(2分)、15°C/分で340°Cまで(10分) |
注入温度: | 250 °C |
キャリアガス: | ヘリウム、1.2 mL/分、一定流量 |
検出器: | MRM、フィプロニル:254.9/228、350.8/254.8、366.8/212.8フィプロニルスルホン:382.8/254.9, 384.8/256.8, 254.9/227.9 |
注入量: | 1 μL、パルススプリットレス(0.75分まで50 psi、0.75分でスプリッター) |
ライナー: | テーパー付き4 mm I.D. Focusliner™ |
![卵からのQuEChERS抽出物におけるGC/MSスキャン分析。 卵からのQuEChERS抽出物におけるGC/MSスキャン分析](/deepweb/assets/sigmaaldrich/marketing/global/images/technical-documents/protocols/analytical-chemistry/quechers/b-fipronil-sulfone/b-fipronil-sulfone.jpg)
図2. 卵からのQuEChERS抽出物におけるGC/MSスキャン分析。
![5 ng/mLでの卵中フィプロニル・フィプロニルスルホンのGC/MS/MS分析 5 ng/mLでの卵中フィプロニルおよびフィプロニルスルホンのGC/MS/MS分析](/deepweb/assets/sigmaaldrich/marketing/global/images/technical-documents/protocols/analytical-chemistry/quechers/c-fipronil-sulfone/c-fipronil-sulfone.jpg)
図3. 5 ng/mLでの卵中フィプロニル・フィプロニルスルホンのGC/MS/MS分析
n=3 | 卵 | 鶏肉 | マヨネーズ |
---|---|---|---|
フィプロニル | 91 (0.5) | 103 (3) | 85 (3) |
フィプロニルスルホン | 91 (1.8) | 116 (2) | 87 (4) |
参考文献
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