細胞治療製品の製造
新しい細胞治療の商業化のためには、アップストリーム・ダウンストリームプロセス、プロセス開発、試験と製造サービスなどの全てのステージで最適化される必要があります。再生医療の最先端で活動するバイオ医薬メーカーは顧客のニーズに対応する能力ばかりでなく、高度な細胞治療製品の開発と生産に優れた実績を持つパートナーを必要とします。このような活動を支えるためには数千もの高度な製品とツールが必要であり、多少でも非効率な部分が存在すると極めてタイトな時間計画においてプロセスの遅延を招くことになります。したがって細胞治療の開発の各段階で、品質と効率の両面の厳しい条件に従い製造を行う必要があります。細胞治療製品の商用化において起こりうるボトルネックを解消するには、製造プラットフォームから、培地および試薬、特性評価ツール、プロセス開発サービス、試験までを含めた最適化が必要です。
バルク培地と試薬の準備
細胞治療製品が前臨床試験から製造へ進むにには、細胞培養培地と添加剤に対して目的のアプリケーションと拡大培養のフォーマットのバリデーションを行う必要があります。調製や使用が容易か、滅菌処理が必要か、製品を安全に保管できるか、バリデーション、品質、規制遵守に関してベンダーのサポートが得られるかなどの条件があります。
細胞培養培地と添加剤
原材料が細胞治療製品やその用途に適したものであることに加え、品質の高さ、トレーサビリティ、ロット間の均質性がきわめて重要な条件です。プロジェクトが何年にも渡ることを考慮し、信頼できるベンダーを選択して安定なアップストリームサプライチェーンを確保することが非常に重要です。
拡大培養
付着細胞の拡大培養にマイクロキャリアバイオリアクターを用いることで、生産段階のコスト低減と効率向上に役立ちます。ダウンストリームプロセスのスケーラビリティ、サンプリングの容易さ、閉鎖系のデザインなどによりプロセスは予測可能での堅牢性を持ち、製造施設の柔軟性も高めます。この他、インラインモニタリングによる自動化とトレーサビリティ、必要に応じた制御、データの記録も重要な要素です。
音響技術を利用した細胞プロセッシング
患者由来と標準細胞をより温和な条件で操作する手段として、音響技術を利用する濃縮、洗浄、凝集物処理、パフュージョンが注目を集めています。音響技術の使用により細胞に与えるエネルギーとストレスが小さくなり、細胞治療生産が単純化されてプロセス変化への適合性も向上します。モジュール化設計を採用すれば更に柔軟性が向上し、使用法も簡単になります。
ハーベスト
付着細胞に依存する培養をスケールアップして産業用大規模生産を考える場合は、細胞収率の向上がコストの観点から極めて重要です。したがって、細胞を培地から効果的に分離して細胞収量を増大させるためにダウンストリームの最適化が検討されています。その他の注目すべきトレンドとして、動物由来成分を含まない原料の使用がより強く求められています。
凍結保存
サンプルが安全条件を満たして生産施設は配送され、最終的には患者への投与のために安全に病院へ届けられる、という環境を実現するためにはサプライチェーンの管理が必須の要件です。製品の特性や感受性、製造ロジスティクスの複雑さ、製品の出荷試験、患者の所在地などの要素を考慮して選ばれた高品質の試薬と併用する場合には、凍結保存が有効です。
プロセス開発
適切な製造プラットフォーム、培地と試薬、特性評価ツール、試験を統合することで工程のボトルネックを避けることが可能です。しかし、専門知識の構築を社内だけで考えるのはコストが高いため、多くの先端企業は製品開発と生産に実績を持つパートナーを探すのが通常です。世界に通用するパートナーのメリットは、研究からスケーラブルな実製造までのスピードの早さと、製造管理および品質管理に関する基準(GMP)への適合、技術移転の早さ、低コストで堅牢な製造によって製品が患者の手に届きやすくなることです。
受託製造・試験
新たな再生医療等製品の導入に伴う複雑な作業やリスクは、生物学的安全性試験や製造を委託することで軽減できます。 世界でも一流のパートナーであれば、厳しい時間的制約の中でもGLP(Good Laboratory Practice)とGMP(Good Manufacturing Practice)規制のすべてに適合したバイオセーフティ試験サービスを提供してくれます。これに加えて、完全に法令に準拠したウィルスと遺伝子治療生産を、小型から商業スケールに至る範囲で提供してくれます。このような効率化は企業にも患者にもメリットがあり、必要とされている有効かつ安全で適正な価格の治療薬を速やかに届けることが可能となります。
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