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フローサイトメトリー用色素の選び方フローサイトメトリー用色素選択の簡単なヒント

フローサイトメトリーは、検出試薬として蛍光色素と標的特異性抗体との組み合わせに依存しています。フローサイトメトリーで用いられる多くの抗体は、蛍光色素(蛍光色素分子とも呼ぶ)で直接標識されています。しかし、多くの非標識の一次抗体も、標識した二次抗体と組み合わせて日常的に用いられています。ここでは、蛍光色素分子の蛍光プロファイルとフローサイトメーターの構成との整合、マルチカラーパネルにおける蛍光色素分子の性能に影響を及ぼす要因、および簡単な色素選択に役立つツールなど、フローサイトメトリー用色素選択のための簡単なヒントをご紹介します。 

蛍光色素分子とは?

蛍光色素分子とは、特定の波長によって励起され、その後より長い波長でより低エネルギーの光を放出することができる天然または人工の分子です。励起と発光のプロファイルは、蛍光色素分子ごとに独特の特徴があります。そのため、蛍光色素分子の選択はフローサイトメトリーにとって重要なステップです。  

蛍光色素分子と蛍光色素

フローサイトメトリー関連の論文・文献では、「蛍光色素分子(fluorophore)」と「蛍光色素(fluorochrome)」を同じ意味の用語として用いることがよくあります。しかし、上述したように、一般に「蛍光色素分子」は自ら蛍光を発する個々の分子を指します。これに対して、「蛍光色素」はフローサイトメトリー試験前の生物学的染色に使用される蛍光色素を指します。

蛍光プロファイルとフローサイトメーターの構成との整合

各蛍光色素分子の蛍光プロファイルが、フローサイトメーターの光学的仕様と合っていることは極めて重要です。まず初めに、搭載されているレーザーとフィルターの数およびタイプなどの、使用するフローサイトメーターの構成を確認することが重要です。レーザーは、選択した蛍光色素分子の最大励起波長に近い光を発するものでなければなりません。さらに、フィルターは蛍光色素分子の最大発光波長に最も近い光を検出するために適している必要があります。 

マルチカラーパネルにおける蛍光色素分子の性能に影響を及ぼす要因

フローサイトメトリーに適した蛍光色素分子または蛍光色素の種類がここ10年の間で大幅に増えてきたため、対象とする細胞集団に含まれる複数のマーカーを同時に検出するニーズに応えられるようになっています。それが、以下のような利点をもつハイスループットまたはマルチカラーフローサイトメトリー分析の登場につながりました:

  • 種々の細胞が混在した細胞集団に含まれる特定の細胞の詳細な分析が可能
  • 異なる種類の細胞に対する薬物の有効性について研究が可能
  • タンパク質間相互作用の分析が可能 

マルチカラーフローサイトメトリー実験を希望する場合には、いくつかの課題が伴います。研究者は、マルチカラーフローサイトメトリーパネルを自らデザインする際に、誤った結果を避けるため、複数の評価基準を使用して、適切な色素または蛍光色素分子を選択する必要があります。蛍光色素分子のパネルを使用する場合、分析での干渉をできるだけ抑えるために、すべてのレーザーとフィルターにわたって蛍光色素分子をできるだけ広範囲に分散させることが重要です。 

マルチカラーパネルにおける蛍光色素分子の性能とその用途は、以下の点に依存します:

  • 励起および発光プロファイル
  • 相対光度
  • 量子収率
  • 発光のオーバーラップ
  • 抗体蛍光色素分子標識の安定性
  • 抗体標識の再現性

適切な蛍光色素選択のヒント

フローサイトメトリー分析に適した蛍光色素または蛍光色素分子を選択するためのヒントをご紹介します。 

  • 蛍光色素分子のプロファイルが、フローサイトメーターの光学的仕様に合っていることを確認します。
  • 抗体のパネルを使用するフローサイトメトリー実験では、励起光と発光(蛍光)の最大値およびストークスシフトを常に考慮してデザインしてください。  
  • 使用するフローサイトメーターの構成で最も明るい蛍光色素分子のセットを選択します。 
  • スペクトルのオーバーラップを最小限に抑えられる蛍光色素分子を選択します。 
  • 抗原発現量が低い抗体には最も明るい蛍光色素分子を、逆に抗原発現量が高い抗体には最も暗い蛍光色素分子を適用してください。 
  • 高感度を要する検出器には、明るい細胞集団からのスピルオーバーが入らないようにします。 
  • 実験のニーズによっては、固定後の各蛍光色素分子の安定性だけでなく光安定性も考慮します。 
  • 発光スペクトルにオーバーラップがない蛍光色素分子の組み合わせが理想的ですが、マルチプレックスの際に補正コントロールまたはコントロールビーズを使用すれば、検出された光が正しい蛍光色素分子のものであることを示すことができます。  
  • 溶解剤や固定剤などその他の試薬に対して感度が限定的であるか、またはゼロであることを確認します。 

簡単な色素選択用ツール

フローサイトメトリー用のColorWheel®抗体および色素のラインナップを常に拡充しています。この抗体と色素は、ユーザーの希望する抗体と色素の組み合わせをミックス&マッチで可能にする独自のオリゴベース技術を用いています。これらの試薬は、二次標識抗体や標識キットに比べて高い簡便性をもたらします。 

ColorWheel®色素は、どのColorWheel®フローサイトメトリー用抗体も迅速かつ簡単なプロトコルにより室温で30分以内に標識できます。特にマルチカラーフローサイトメトリーパネルが求められる実験では、色素を簡単に選択するための最適なツールとなります。

ColorWheel®フローサイトメトリー用抗体および色素がいかに簡単に調製できるかについては、ColorWheel®フローサイトメトリー用試薬の3ステップ調製プロトコルのページをご覧ください。 

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