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ホーム高分子合成 (ポリマー合成)高屈折率・低屈折率コーティング用材料

高屈折率・低屈折率コーティング用材料

はじめに

屈折率(RI:Refractive Indexもしくはnで表示)は、光導波路や眼科用器具などのフォトニクスへの応用に際して極めて重要な性質のひとつです。独特の屈折率特性と優れた光学的透明性を持つポリマー材料は、太陽電池、ディスプレイのような表示装置、コンタクトレンズなどの反射防止コーティングとしても使用されます1,2。機械的強度、環境安定性、および加工の容易さが求められる中で、ポリマーをベースとした材料は、従来の無機光学膜の優れた代替品となる可能性を持っています3。この他に、軽さ、振動応力の影響を受けないこと、安価であることなどの点で無機材料より優れています。 

保護被覆層膜と屈折率を制御するポリマー被覆層膜を持つディスプレイの概略図

図1保護被覆層膜と屈折率(RI)を制御するポリマー被覆層膜を持つディスプレイ(例:液晶ディスプレイ)の概略図

液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)の反射防止コーティングは、ポリマーによる屈折率制御技術を応用した例のひとつです(図1)。PET(ポリエチレンテレフタラート)またはTAC(トリアセチルセルロース)の膜は、最近の多層LCD積層の外側の層を保護するのに一般的に使用されます。PETとTACは、安価で強度が高く、屈折率が空気(n = 1)よりかなり大きな(n = 約1.7)ポリマーです。屈折率の差がおよそ0.7である急峻な界面に入射した光線の大部分は、界面で反射します。液晶ディスプレイでこのような現象が起こると、周辺光のかなりの部分がディスプレイ表面で反射するために、表示された画像がまぶしかったり、色あせて見えたりします。徐々に屈折率が変化する光制御積層膜でLCD表面を覆うことにより、この問題を解決することが可能です。この積層は複数の層からできており、それらの屈折率はPETまたはTACの表面に隣接する層が一番高く、空気に接する層に進むにつれて徐々に減少します。ディスプレイ表面の屈折率を空気の屈折率に合わせることで表面での反射が減少し、画像のコントラストの向上と、周辺光の反射による色あせの抑制を促します。

ジルコニウムおよびハフニウムのアクリラートモノマー

光制御積層の屈折率工学技術は、ポリマー膜の屈折率を調節するための添加剤に左右されます。屈折率を上昇させると期待される添加剤には、金属酸化物のナノ粒子や、原子番号の大きな(炭素と比較して)原子を含むモノマー/ポリマーなどがあります。ジルコニウムおよびハフニウムをベースとするアクリラートモノマー(表1)は、液晶ディスプレイの保護膜に一般に配合されるウレタンアクリラートなど、特にアクリラート膜の屈折率の制御に最適です。これらの製品を混合した硬化アクリラート膜は紫外線に対して安定で、次のような特徴を兼ね備えています。

  • 優れた光学的透明性(>95%)
  • 硬度が高く、傷が付きにくい(鉛筆硬度:>2H)
  • 官能性モノマーの配合量を選択して屈折率を調整可能(図2
表1多官能性ジルコニウムおよびハフニウムアクリラートモノマー

さまざまなモノマー配合比で作製したポリマーの屈折率

図2さまざまなモノマー配合比で作製したポリマーの屈折率

高屈折率ポリマーおよび低屈折率ポリマー

上記多官能性ジルコニウムおよびハフニウムアクリラートの他にも、芳香族および臭素化芳香族モノマーベースの高屈折率ポリマー(表2)、およびフッ素化モノマーベースの低屈折率材料(表3)を幅広く取り揃えています。関連するモノマーも提供しております。表には、パターン形成やヘテロ積層型素子の作製に使用する紫外線/加熱架橋型ポリマーも掲載しています。

表2高屈折率材料

表3低屈折率材料

関連製品
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1.
Oth JFM. 1971. Conformational mobility and fast bond shift in the annulenes. 25(3):573-622. https://doi.org/10.1351/pac197125030573
2.
Nalwa H. 2004. Polymer Optical Fibers. American Scientific Publishers.
3.
Prasad PN, Williams DJ. 1991. Introduction to Nonlinear Optical Effects in Molecules and Polymers. New York: John Wiley & Sons.
4.
Brandrup J, Immergut EH, Grulke EA. 2003. Polymer Handbook. 4. New York: John Wiley & Sons.
5.
Gaynor J, Schueneman G, Schuman P, Harmon JP. 1993. Effects of fluorinated substituents on the refractive index and optical radiation resistance of methacrylates. J. Appl. Polym.Sci.. 50(9):1645-1653. https://doi.org/10.1002/app.1993.070500919
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