
図1.水系試料マトリックス/移動相
基本手順
- 試料の前処理:生体試料液など、妨害成分が多い試料はバッファーで1:1に希釈します。イオン性化合物を処理する場合はpH調整が重要な場合があります。化合物のイオン化状態により、使用するSPE溶媒の保持や溶出の特性が大きく変わることがあります。
分析物が中性化合物の場合は疎水性が高くなり、逆相条件下で強く保持されます。試料のpHを化合物のpKaの±2 pH(官能基に左右されます)に調整すると化合物が効果的に中和されます。組織やその他の固体を処理する場合は、固液抽出やバッファーを用いたホモジナイズを行います。非極性の溶媒(メタノール、イソプロパノールを含む)は、化合物と溶媒の官能基の間の相互作用を切り離します。
目詰まりを避けるため、試料をSPE相に入れる前に遠心分離、希釈および/または
フィルター処理が必要な場合があります。
- コンディショニング/平衡化:コンディショニングでは、固定相を湿らせたり活性化させたりして分析物と吸着剤の官能基の間に一貫した相互作用が起きるようにします。多くの場合、逆相吸着剤はチューブ容積の1~2倍量のメタノールやアセトニトリルなどの水混和性溶媒でコンディショニングします。
平衡化では、最大限に保持するように、溶媒強度やpHが試料負荷と同程度の溶液を通します。チューブ容量の1~2倍量のバッファー(試料の前処理に使用するもの)または水が逆相の平衡化に適した選択です。
- 試料のロード:試料(ステップ1で得られた試料)を約1~2滴/秒のゆっくりした一定の速度で滴下し、最適に保持されるようにします。
- 洗浄:試料のロード中は、多くの場合、試料の妨害成分が対象化合物とともに保持されます。洗浄工程は、対象化合物が早く溶出する前に妨害成分を溶出させるのに必要です。一般に、洗浄溶媒は5~20%メタノール水溶液または試料の前処理に使用するバッファーです。
- 溶出:十分に非極性の有機溶媒や溶媒混合液で分析対象物と吸着剤の官能基の疎水性相互作用を切り離します。溶出溶媒の例は、1~2倍量のメタノールやアセトニトリルです。
多くの場合、溶出時にpHを調整するとイオン性化合物処理での回収率を向上させることができます。イオン型の塩基性および酸性化合物は極性が高くなって逆相相互作用が弱まるため、弱い溶出溶媒や少ない溶媒量で溶出できることがあります。
- 溶出液の後処理:多くの場合、LC分析前にSPE溶出液を蒸散させ、移動相で再溶解する必要があります。GC分析では、多くの場合、SPE溶出液をさらに濃縮したり、揮発性がさらに高い溶媒で溶媒置換したりする必要があります。
SPEのコツ
- 試料の前処理中に薬物とタンパク質の結合を切り離す必要があります。
その方法の例:- マウス血漿100 µLあたり2% EDTA二ナトリウム40 µL
- マウス血漿100 µLあたり2%ギ酸40 µL
- その他の試薬(マトリックス100 µLあたり):
2% TCA 40 µL、2%酢酸40 µL、2% TFA 40 µL、2%リン酸40 µL、またはアセトニトリル200 µL(タンパク質沈殿)。
- 分析前にSPE溶出液を蒸散させる必要がある場合は、溶出後にSPEチューブ内を約10分間真空引きします。これにより、蒸散を長引かせる残存水分を除去します。
- 試料ロード中や溶出時にゆっくり一定速度(1~2滴/秒)で行うと、回収率や再現性が高まります。
- 溶出液量を最小限に抑えるにはベッド・ウェイトを減らします。
- 極性化合物の保持量を増やすにはベッド・ウェイトを増やします。
- メタノールでコンディショニングする場合のみ、吸着剤が乾燥しすぎないように注意してください。
- ジクロロメタン(または溶出に使用する溶媒)などのプレコンディショニング溶媒をコンディショニング前に使用すると、その後の分析を妨害する可能性のあるSPEチューブからの不純物を除去できます。
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