ビトロネクチンは、血漿および組織中に存在する糖タンパク質です。フィブロネクチンとともに、血漿中の主要な細胞接着タンパク質群を構成しています。これらの細胞接着タンパク質は機能が類似しており、細胞接着配列であるArg-Gly-Asp(RGD)を有していますが、構造的および免疫学的にはそれぞれ全く異なります。ビトロネクチンは、培養においてさまざまな細胞間の接着を促進するだけでなく、グリコサミノグリカンと結合し、細胞溶解阻害因子として補体系の膜侵襲複合体に組み込まれます。また、血液凝固においてはトロンビン・アンチトロンビンIII複合体と相互作用し、さらに、凝固経路においては生理学的役割を担っている可能性があります。N末端残基はソマトメジンBそのものであり、血漿中にも存在します。このN末端配列に隣接して、細胞表面受容体に対する特異的結合部位のRGDが続き、さらに、繰り返し単位の配列が続きます。分子の中央ドメインは、疎水性アミノ酸残基を多く含有しています。C末端近傍は、アルギニン残基に富む分子量12 kDaのドメインでヘパリン結合活性を有しており、立体構造が変化することにより活性部位が出現します。この構造変化は、in vivoではトロンビン・アンチトロンビンⅢ複合体との結合により、またin vitroでは尿素処理により生じます。
ログインして続行
続きを確認するには、ログインするか、新規登録が必要です。
アカウントをお持ちではありませんか?