A-Phos
はじめに
ハロゲン化ヘテロアリールを用いる鈴木-宮浦クロスカップリング反応は、多くの生理活性物質の合成を可能にするため、特に創薬分野で注目されています。現在、ボロン酸と5員環ハロゲン化ヘテロアリール、あるいは、ヘテロ原子置換6員環塩化アリールとの効率的なカップリングが求められています。これらの基質の多くは触媒活性を低下させることが知られており、収率を向上させるために通常は触媒量を増やす必要があります。A-Phosパラジウム錯体の活用は、この問題を解決し、ヘテロ原子を有するビアリール化合物を効率よく合成する新たな手法です。
利点
- 空気に安定な触媒
- 水性溶媒中で実施可能
- 触媒量の低減
- ヘテロ原子を有するビアリール化合物の合成
主な利用例
Amgen社のGuramらにより、空気に安定な一連のパラジウム触媒の合成とその活性が報告されました。これらの新規触媒は、かさ高いジアルキルフェニルホスフィンを基本骨格とし、フェニル基のp-位がアミン、アルコールまたはトリフルオロメチル基で置換されています。これらのパラジウム錯体を用い、ヘテロ原子を有する基質のカップリング反応を検討したところ、1 mol%の触媒量で、種々の塩化アリールとアリールボロン酸のカップリング反応が極めて高い収率で進行しました。
典型的な反応では、1 mol%の触媒と炭酸カリウムとともに水性溶液中で12時間還流します。さまざまなピリジン誘導体が、電子供与性または電子欠乏性のかさ高いボロン酸と高収率でカップリングし、最高99%の収率が得られました。
最近では、Guramらはさまざまな塩化アリールとアリールボロン酸エステルの鈴木カップリング事例を報告しており、有用なカップリング試薬の種類が増えています。。この反応では、1 mol%の触媒および塩基として酢酸カリウムの存在下、ブタノールと水が溶媒として用いられています。
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