MILLIPLEX®ヒトサイトカイン/ケモカイン/成長因子パネルA:多項目かつカスタマイズ可能なマルチプレックスアッセイ
サイトカインマルチプレックスアッセイにより、研究者は免疫系および炎症メカニズムを容易に調べることができます。MILLIPLEX®ヒトサイトカイン/ケモカイン/成長因子パネルAは、これまで1つのパネルでは不可能だった48種類の免疫因子を組み合わせたマルチプレックスアッセイです。自由にアナライトを組み合わせることも、48プレックスまたは38プレックスのプレミックスキットを選択することもできます。高品質のパネルにより、ワークフローおよびサンプル検出が改善され、信頼性の高い研究を可能にします。
サイトカイン、ケモカインおよび成長因子の役割
サイトカインは、細胞間の直接的相互作用の仲介や、細胞外のプロセスの調節も担います。サイトカインは、より広範囲の標的細胞に作用し、リンフォカイン、インターフェロン、コロニー刺激因子、およびケモカインを含むという点でホルモンと異なります。さらに、成長因子は標的細胞の生存・増殖・分化を刺激し、血管新生、脈管形成および細胞遊走に影響を与えます。
サイトカイン、ケモカイン、成長因子の研究は、免疫系と各種抗原に対するその多面的反応を深く解明するうえで重要な役割を果たしています。特に、これらを深く理解することは変形性関節症、IBD、敗血症、アレルギー反応からがんに至るまで、炎症プロセスおよび疾患状態におけるさまざまな反応を解明するうえで重要です。また、感染症、呼吸器疾患、神経疾患、代謝性疾患および心血管疾患の理解にも有用です。
サイトカインマルチプレックスアッセイにより、研究者は1つの少量サンプルから複数のサイトカイン、ケモカイン、および成長因子を測定することができ、時間とリソースを節約することができます。例えば、Luminex® xMAP®テクノロジーに基づくMILLIPLEX® マルチプレックスアッセイでは、研究者に免疫および炎症プロセスをより深く理解するためのさまざまなサイトカインパネルを提供します。 COVID-19(SARS-CoV-2)研究のためのMILLIPLEX® マルチプレックスアッセイの技術資料で、マルチプレックスアッセイがサイトカインストームの研究にどのように役立つかをご確認ください。
研究目的での使用に限定されます。診断目的では使用しないでください。
MILLIPLEX® キットの品質
キットの開発・検証においては、測定サンプルの交差反応性が無視できるレベルであることを確認する選択性・特異性試験、ならびにシングルプレックスとマルチプレックスでアッセイ性能が一貫していることを確認する特異性試験が必要です。抗体の特異性を高めるためバッファーと希釈液を最適化しており、サンプル中の目的のアナライトのみを検出します。また、血清/血漿サンプルを使う場合は、サンプルのマトリックスに最も近いSerum Matrixを慎重に選択し、標準タンパク質に加えてアッセイを最適化します。ストレプトアビジン-フィコエリスリン(SAPE)濃度は最適なシグナルになるように調製済みで、希釈不要ですぐに使える状態で提供しています。さらに、すべてのキットは、輸送時の安定性について厳しく試験が行われ、サンプルの温度や凍結/解凍に対する耐性についても試験が行われています。
バイオサンプルにおいて標準曲線のダイナミックレンジ内で検出できるように、キットのアナライトごとにサンプル希釈を最適化しています。本キットで試験されたサンプルには、正常および疾患の血清/血漿サンプルのほか、末梢血単核細胞上清(PBMC、各種薬剤による刺激/無刺激)があります。QCタンパク質として、各アナライトの組換えタンパク質(低濃度、高濃度)を同梱しています。2つのQCタンパク質(高濃度および低濃度)は、各標準曲線で適切なレンジを示すように製造されており、QCレンジシートを各キットに同梱しています。さらに、各アッセイで、毎回、実験に適したサンプルをコントロールとして加えることを推奨します。
詳しくは、MILLIPLEX®キットの品質に関する技術資料をご覧ください。
ワークフローの改善
1つのパネルに48種類の免疫因子を含むアッセイは強力な研究用ツールです。スクリーニングではすべてのアナライトを測定し、その後はプロジェクトが進行するにしたがって、アナライトを選択できるので、フレキシブルに効率よく研究を進めることができます。ロット間で変化しない標準曲線を用いて、すべての(または選択した)アナライトをキット内でpg/mLレベルで検出るため、アッセイは非常に使いやすくなっています。ロット間で標準曲線が変化しないため、プロジェクト全体にわたって一貫した測定結果が得られます(図1)。
図1.48プレックス標準曲線。MXHSM-A Serum Matrixで作成。ただし、*RANTESはL-AB Assay Bufferで作成。MILLIPLEX®ヒト サイトカイン/ケモカイン/成長因子パネルAのオーバーナイトプロトコルで実施。
また、MILLIPLEX® ヒトサイトカイン/ケモカイン/成長因子パネルAのプロトコルは、一般的なワークフローでわかりやすく、使いやすいように各ステップを記載しています。
もう1つの改善点として、2種類の血小板由来成長因子(PDGF-AAおよびPDGF-AB/BB)がいずれも希釈なしの血清/血漿サンプルで測定できるようになりました。これにより、MILLIPLEX® ヒトサイトカイン/ケモカインパネル1やその他市販のLuminex® ベースのキットと同様にサンプルの希釈が不要になりました。血清/血漿サンプル中で発現量の高いRANTESについては、引き続き血清/血漿サンプルを1:100に希釈する必要があります。
ビーズ番号とアナライト名を数字とアルファベット順に配置したことにより、以前より簡単に、結果ファイルから目的のアナライトをすばやく見つけることが可能になりました。これは、42種類以上のアナライトを含むデータセットの解析で大いに役立ちます。
サンプルの検出性
MILLIPLEX® ヒトサイトカイン/ケモカイン/成長因子パネルAでは、比較対照パネルと比べて標準曲線が改善しました。さらに、サンプル検出の点でも性能の向上が見られました。このパネルの開発目標の1つは、比較対照のMILLIPLEX® キット(カタログ番号:HCYTOMAG-60K、HCYP3MAG-63K、HTH17MAG-14K)と、サンプルの数値を近づけることでした。注目すべきことに、3種類のアナライトは文献上の値により近くなりました:GROα1,2、IL-41、IL-223,4,5。
図2および図3は、このパネルを使用してそれぞれ疾患サンプルと刺激PBMCサンプルを解析した結果を示しています。
図2.MILLIPLEX®ヒトサイトカイン/ケモカイン/成長因子パネルAを用いて、健常者の血清/血漿サンプル(BioIVTより入手)および敗血症患者の血清/血漿サンプル(BioIVT、Discovery、BioChemedより入手)を希釈せずに(25μL/ウェル)測定した結果。健常者の血清/血漿サンプル、N=20。敗血症の血清/血漿サンプル、N=16。
図3.ヒトPBMCサンプル(BioIVTより入手)を106 cells/mL、10% FBSおよび1% Penicillin/ Streptomycin含有RPMI、1 μg/mL LPSまたはCon Aで、37℃で48時間インキュベーションした。その後、無細胞上清を採取し、MILLIPLEX®ヒトサイトカイン/ケモカイン/成長因子パネルAを用いて測定した。
詳細は、 MILLIPLEX® ヒト サイトカイン/ケモカイン/成長因子パネルAのアプリケーションノートをご覧ください。
研究目的での使用に限定されます。診断目的では使用しないでください。
MILLIPLEX®ヒトサイトカイン/ケモカイン/成長因子パネルAを使用した最近の研究論文
- Epigenetic state determines inflammatory sensing in neuroblastoma.
Wolpaw AJ, Grossmann LD, Dessau JL, Dong MM, Aaron BJ, Brafford PA, Volgina D, Pascual-Pasto G, Rodriguez-Garcia A, Uzun Y, et al. 2022.Proc.Natl.Acad.Sci. U.S.A..119(6): https://doi.org/10.1073/pnas.2102358119. - Regulatory T Cells Control Effector T Cell Inflammation in Human Prediabetes.Liu R, Pugh GH, Tevonian E, Thompson K, Lauffenburger DA, Kern PA, Nikolajczyk BS.2022.71(2):264-274. https://doi.org/10.2337/db21-0659.
- Inhibition of tumor necrosis factor improves conventional steroid therapy for Stevens-Johnson syndrome/toxic epidermal necrolysis in a cohort of patients.Ao S, Gao X, Zhan J, Ai L, Li M, Su H, Tang X, Chu C, Han J, Wang F. 2022.Journal of the American Academy of Dermatology. https://doi.org/10.1016/j.jaad.2022.01.039.
参考文献
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