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ChIC/CUT&RUNデータ解析ツールの概要

ChIP-seqは、DNAとタンパク質の相互作用を調べるための強力なツールで、転写因子(TF)、ヒストン修飾、染色体DNA結合酵素、シャペロン、またはヌクレオソームの染色体上の位置をマッピングするために使用できます。長年にわたり、クロマチン免疫沈降(ChIP)の基本は変わっていません。感度が制限される高いバックグラウンド、大量の細胞が必要なこと、クロスリンクや可溶化によるアーティファクトの問題も残ったままです。Chromatin ImmunoCleavage(ChIC)は、このような困難な問題や非効率性をChIPに代わって解決する重要な技術です。ChIC技術に基づいて、ゲノムワイドプロファイリングに適用できるようにさらに進化し、作業が簡素化された技術がCleavage Under Targets and Release Using Nuclease(CUT&RUN)です2。使用する抗体に応じて付属のpG-MNまたはpA-MN/pG-MNタンパク質カクテルで選べる3種類のChIC/CUT&RUN ChICキットを、ChICおよびCUT&RUN技術用に開発しました(カタログ番号:CHR100~102)。

ChIC/CUT&RUN法により実験手順は大幅に改善されましたが、得られたシーケンシングデータの処理と解析はChIP-seqの場合と変わっていません。そこで私たちは、先に述べた3つの手法、つまりChIP-seq、ChIC、CUT&RUNに適したデータ処理・解析ツールを開発しました。このツールは現在、ChIC/CUT&RUNキットをご購入いただいたお客様に限り提供しています。ChIP-seqでの実験結果を包括的に解析できます。このツールは、ファイル管理、データ解析および結果レポートという3つのモジュールで構成されています(図1)。

ファイル管理モジュールはさまざまな機能を備え、Illuminaプラットフォームで過去に生成されたバーコード付きのNGSファイル、バーコードなしのNGSファイルどちらも読込みが可能です。また、リードファイルの品質管理(QC)、視覚化、デフォルトの解凍機能、QC要件を満たすためのリードの前処理などの機能があります。各アカウントには50GBのストレージをご用意していますが、アップロードできるファイルサイズは最大で6GBです。

データ解析モジュールは、ピークコール、TF結合プロファイル、および結合性の変化の解析という主要な3つの機能を提供します。データ解析で考慮される因子には、ピークタイプ(narrow peak、broad peak)、サンプルのバーコードの有無、反復数、およびコントロールの有無などがあります。また、結合部位の分布、パスウェイ/GO enrichmentやベン図などさまざまなカテゴリーに基づいて、各解析機能のための多くのアノテーションが用意されています。最新バージョンでは、ヒト(hg38、hg19)、マウス(mm10、mm9)、およびラット(rn6、rn4)を主に考慮しています。

結果モジュールでは、ピークコール、モチーフ検出、結合性の変化、およびそれらのアノテーションのすべてのデータが、該当する結果パネルをクリックするだけで表示されます。ピークコールの結果はサンプルごとに、反復サンプル2つ以上で一致した結果を表示します。この結果は、IGVゲノムブラウザでダウンロード、可視化できます。TF結合プロファイル機能を用いると、選択した上位の結合部位を有するDNAモチーフを特定でき、特定された上位のDNA結合モチーフはさらにJasparデータベースと比較されます。比較結合解析では異なるサンプル/処置間の結合性の相違を調べます(反復回数は使用する方法により異なります)。重要なことは、各タイプの解析のアノテーション結果をダウンロードして表やプロットとして可視化できる点です。ツールに関する詳細は、FAQをご覧ください。

※初回使用時、データ解析ルールページで画面右のRegister Now をクリックし、ユーザー情報をご登録ください。Order IDの欄は入力なしで登録可能です。入力しSubmit をクリックしたら、弊社にて登録情報を確認いたします。確認が取れましたら、使用開始のメールをお送りいたします。メールが届きましたら、ご利用いただけます。※ご不明な点などございましたら、テクニカルサービスまでお問い合わせください。

データ解析のワークフロー

図1.データ解析のワークフロー

参考文献

1.
Schmid M, Durussel T, Laemmli UK. 2004. ChIC and ChEC. Molecular Cell. 16(1):147-157. https://doi.org/10.1016/j.molcel.2004.09.007
2.
Skene PJ, Henikoff JG, Henikoff S. 2018. Targeted in situ genome-wide profiling with high efficiency for low cell numbers. Nat Protoc. 13(5):1006-1019. https://doi.org/10.1038/nprot.2018.015
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