加熱脱離チューブ

概要
装置メーカー別チューブ
VOST煙道ガス捕集チューブ

35分間のオンデマンドウェビナー「加熱脱離ガスクロマトグラフィーの用途
に適した吸着剤の選択」をご覧ください。

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概要

加熱脱離について

Supelcoでは、有機化合物の捕集と加熱脱離性能に優れた吸着管「Carbotrap™チューブ」を幅広いラインナップで製造しています。加熱脱離の用途で良好な結果を得るためには、適切な吸着剤を選ぶことが極めて重要です。理想的な吸着管は、サンプリングで目的とする化合物を捕集して保持します。そして、熱分解を発生させずに分析対象物全体を脱離させます。分析時間をできるだけ短くして最も効率的な分離を行うためには、脱離速度をできるだけ速くしなければなりません。安定した吸着剤は、分解生成物が定量に干渉する可能性を最小限に抑え、良好な検出限界を担保します。

マルチベッド型吸着管

単一の吸着剤では、すべての化合物を効率的に捕集して脱離ができないため多くのCarbotrap™加熱脱離チューブには2種類以上の吸着剤が入っています。吸着剤のマルチベッドにより、1回のサンプリングで広範囲の化合物を分析することができます。マルチベッド型吸着管の内部では、試料注入口から試料出口に向かって吸着力が高くなっていくような順に、複数の吸着剤が配置されています。試料中の最も大きい分子は、吸着剤の最初の充填層で捕集されます。それよりも小さい分子は、吸着力がより高い後続の充填層で捕集されます。分析対象物が強い吸着剤を通り抜けてしまうことを防ぐため、脱離の流れの方向は必ず捕集の流れと反対になっています。

チューブの構造

大気モニタリングシステムが良好に機能するためには、加熱脱離チューブの設計と中身が非常に重要です。ガラス製チューブは、ロット間性能の一貫性を確保するために厳しい公差で製造されます。メルクでは、ガラス製チューブの一本一本に固有の識別番号を表示しています。加熱脱離チューブはガラス製やステンレス製であることが一般的で、吸着剤はガラスウールやステンレスメッシュ、ガラスフリットによって所定の位置に保持されます。チューブの長さと外径は、選択した装置によって異なります。一般に、サンプリングには内容積が大きいチューブ（内径4 mm以上）が使用されます。なぜなら、比較的大きいサイズの吸着剤層が確保できるからです。内径の大きい捕集チューブから内径の小さい（1～2 mm）チューブに分析対象物を移動させて、試料を「濃縮」して体積を減少させることによって、分析結果を最適化することができます。続いて、内径の小さいチューブからクロマトグラフィーカラムに向かって脱離を行うことにより、チューブを通る脱離流の線速度が速くなり、その結果として、試料が迅速かつ狭いバンドでカラムに送られます。

空チューブ

メルクでは、特別な洗浄とシラン処理を施したこれらのガラス製チューブに、捕集の流れの方向を示す矢印を付けています。この方向で吸着力が段々と高くなっていくような順に、吸着剤を充填してください。内径4mmの空チューブに、大気捕集用の吸着剤や熱抽出分析用の固形試料（土、プラスチックなど）を充填することができます。クロマトグラフィーでより良い結果を得るためには、当社の内径1mmおよび2mmの空チューブを使用して、お客様独自の濃縮チューブを作成してください。

反応性の高い化合物を捕集するには、ガラスウール製プラグではなくフリットが注入口に組み込まれた吸着管を使用してください。フリットは、分析対象物を吸着したり分解したりすることなく、吸着剤を所定の位置に保持します。一方、ガラスウール製プラグは、反応性の高い化合物を吸着したり、劣化させたりする可能性があります。

装置メーカー別チューブ

DANI、Markes、OI Analytical、島津製作所（Shimadzu）製装置向けのチューブ

Supelcoは、DANI、Markes、OI Analyticalおよび島津製作所（Shimadzu）製の加熱脱離装置に適合するステンレス製とガラス製フリット付き充填済み捕集チューブを両タイプで提供しています。それぞれのガラス製フリット付きチューブに、固有の番号を示すセラミックコートのバーコードラベルが付いています。それぞれのステンレス製チューブに、高品質チューブであることを示すマークと固有の番号が付いています。チューブはコンディショニング済みで、品質保証試験が実施され、当社独自のTDS³保存容器に密封されて、いつでも使える状態になっています。真鍮製のエンドキャップ継手で密封されたチューブもご用意しています。

Teledyne Tekmar製装置向けのチューブ

Supelcoは、Teledyne Tekmar製装置向けのチューブをガラス製とステンレス製の両タイプで提供しています。メルクの充填済みチューブはコンディショニング済みで、バックグラウンドレベルと背圧についての試験が実施されています。外径1/4インチのチューブは独自のTDS³™保存容器内に密封されており、外径1/2インチのチューブはガラス製保存容器内に密封されています。AEROTrap6000装置に適合します。

Gerstel製TDS（加熱脱着システム）向けのチューブ 

Supelcoは、Gerstel製装置に適合する充填済み捕集チューブを、ステンレス製とガラス製の両タイプで提供しています。それぞれのチューブはコンディショニング済みで、ロットごとに背圧とバックグラウンドについての試験が実施されています。充填済みチューブは独自のTDS³™保存容器内に密封されています。すべての充填済みガラス製捕集チューブは、性能を高めるために注入口にガラスフリットが組み込まれており、一本一本に番号が付けられています。ステンレス製チューブは、注入口と出口の両方にステンレス製スクリーンが使用されているため、使用中に吸着剤のベッドがしっかりと保持されます。それぞれのステンレス製チューブに2枚のステンレス製スクリーンが組み込まれています。

CDS/DYNATHERM製装置向けのチューブ

Supelcoは、DYNATHERM製加熱脱離装置向けの充填済みチューブと空チューブを豊富なラインナップで提供しています。それぞれのチューブには個別の番号が付けられ、コンディショニング済みで、ロットごとに背圧とバックグラウンドについての試験が実施されています。充填済み標準捕集チューブは独自のTDS³™保存容器内に密封されており、高流量チューブはSwagelok®（スウェージロック）継手で密封されています。すべての充填済み捕集チューブは、性能を高めるために注入口にガラスフリットが組み込まれています。濃縮チューブは試料を再濃縮する目的で使用され、溶出の早い化合物のクロマトグラフィーでより良い結果を得るために役立ちます。

VOST煙道ガス捕集チューブ

VOST（揮発性有機化合物サンプリングトレイン）チューブは、US EPA SW-846、メソッド0030に示された規格を満たすよう設計されています。どのチューブも個別に番号が付けられ、コンディショニング済みで、ステンレス製のSwagelok^®（スウェージロック）継手で密閉されてから、ガラス製保存容器に保存されます。ロットごとにバックグラウンドと背圧についての試験が実施されます。