クリックケミストリー
アジドクリックケミストリー
あと1「クリック」で新たな発見
天然の二次代謝物を基にした創薬開発は古典的な手法であり、時間、コストがかかり人手も必要になることがしばしばあります。この20年の間に発展したコンビナトリアルケミストリーやHTSの技術をもってしても、リードの創出は、新規分子のフレームワークを構築する個々の反応の信頼性に大きく依存しています。
クリックケミストリーのメカニズム
クリックケミストリーは、ドラッグライクな分子を合成する新しい手法で、いくつかの実用的で信頼性の高い反応により創薬開発を加速すると期待されています。Sharplessらによれば、クリック反応とは、適用範囲が広く、実施が容易であり、入手が容易な試薬のみを使用し、空気や水に対して安定な反応であると定義しています。実際、いくつかの事例では水が理想的な反応溶媒となっており、最も高い収率と反応速度を達成しています。反応の後処理には一般的な溶媒のみを使用し、クロマトグラフィー精製を必要としません。1
クリックケミストリーの反応プロセス
- シンプルな手法
- モジュール化
- 広い適用範囲
- 高収率
- 立体選択性
- 「グリーンケミストリー」12の原則に適合:
副生成物が無害な物質ばかりであり、クロマトグラフィー精製以外の方法で簡単に除去可能
クリックケミストリー反応の特性1
- シンプルな反応条件
- 入手が容易な出発原料と試薬
- 溶媒の不使用、水のような温和な媒質の使用、あるいは簡単に除去できる媒質のみ使用
- 容易な生成物の単離
- 生成物が生理条件下で安定であること
モジュール化された反応であるクリックケミストリーは、創薬研究、コンビナトリアルケミストリー、標的テンプレートin situケミストリー、DNA研究などの分野で重要な役割を果たしています。1
クリックケミストリーの世界で最も優れた反応とされているのが、アジドをアルキンに付加して1,4-二置換-1,2,3-トリアゾール(反応式1)を生成するHuisgen 1,3-双極性環化付加反応です。銅(I)触媒を使用するこの反応は温和で非常に効率が良く、保護基を必要とせず、多くの場合は精製も不要です。2 アジドとアルキン官能基は概して生体分子と反応せず水中でも安定であるため、標的誘導型合成3や活性に基づくタンパク質プロファイリング4へのHuisgen 1,3-双極性環化付加反応の適用が可能になります。トリアゾールは天然に広く存在するアミド類に似ていますが、開裂を起こしにくいという特性を持っています。さらに、トリアゾールを酸化、還元することはほとんど不可能です。
反応式1
1,2,3-トリアゾール類の合成には、アスコルビン酸塩とCu(II)塩を用いる反応が利用されてきましたが、バイオコンジュゲーションの用途には適しません。しかし、図1に示すトリス[(1-ベンジル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル]アミン(TBTA、図1)を用いると、生物学的な基本骨格を保持したまま銅触媒環化付加反応が効率的に進行します5。
図1
Sharplessらはアジドがアルキンに環化付加して、対応する1,5-二置換トリアゾールを与えるRu触媒反応を報告しました6。いくつかのRu錯体を検討した結果、ペンタメチルシクロペンタジエニル(Cp*)類が最も良い結果を与えることがわかっており、ほとんどのケースではCp*RuCl(PPh3)2が使用されています。Cu(I)触媒反応の対象は末端アルキンに限定されるのに対し、Ru(II)触媒反応は内部のアルキンに対しても有効です(反応式2)。
反応式2
脂肪族アジド類で市販されているものは多くはありませんが、Carreiraらの最近の報告によれば、Schiff塩基リガンドとCo(BF4)2·6H2Oからin situ調製されたコバルト触媒の存在下で不活性なオレフィンをヒドロアジド化することによりアルキルアジドを得ることができます(反応式3)。7 さらに、この反応はSharpless環化付加反応とのカップリングが可能であり、1,4-トリアゾールをワンポット合成することができます。
反応式3
Sigma-Aldrichでは研究ニーズに合うクリックケミストリー試薬と基質を提供しています。
クリックケミストリー製品の具体的な情報については以下リンク、または製品リストをご覧ください。
- 機能化アルキン
- フルオロフォアアルキン/アジド
- ヌクレオシドアジド/アルキン
- 炭化水素アジド
- 有機アジド
- PEGアジド
- アジドソース
- アミノ酸アジド/アルキン
- クリックケミストリー:触媒、リガンド、試薬
参考文献
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