ATRPの典型的な重合方法
以下の二つの重合方法は、Warwick大学のDave Haddleton教授のグループにより行われたATRPの例です。
N-プロピル-2-ピリジルメタンイミンを用いるメタクリル酸メチル(MMA)の重合
図1N-プロピル-2-ピリジルメタンイミン(1a)を用いるメタクリル酸メチル(MMA)の重合
重合は酸素フリー下で行います。まず遷移金属塩を脱酸素し、次に溶液を脱酸素します。その後、開始剤を加えて重合を開始します。
- Cu(I)Br(0.134 g、9.32 x 10-4 mol、製品番号:212865)と乾燥した磁気撹拌子を、乾燥したシュレンク管(ないしは丸底フラスコ)に加えます。
- セプタムをつけて系を密閉し、窒素下での凍結-脱気-解凍による脱酸素を3回繰り返します。
- 窒素下で、フラスコに以下の試薬を加えて重合溶液を調製します。
- トルエン(10 mL)
- MMA(10 mL、9.36 x 10-2 mol、製品番号:M55909)
- N-プロピル-2-ピリジルメタンイミン(0.279 g、1.87 x 10-3 mol)
- このシュレンク管をさらに3回凍結-脱気-解凍を行い、一定速度で撹拌しながら90℃に加熱します。
- 反応温度に達した後に開始剤である2-ブロモイソ酪酸エチル(0.136 mL、9.36 × 10-4 mol、製品番号:E14403)を窒素下で加え(t = 0)、重合を開始します。
30~60分ごとに脱気したシリンジを用いてサンプリングしながら、GCないしはNMRにより転化率を、SECにより分子量と多分散度指数(PDI:polydispersity)を求めることができます。300分後に、転化率は89.3%となり、Mn=8,760 g mol-1(理論分子量:Mn = 8,930 g mol-1)、PDI = 1.20のポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)が得られます。
N-ペンチル2-ピリジルメタンイミンを用いるスチレンの重合
図2N-ペンチル2-ピリジルメタンイミン(1b)を用いるスチレンの重合
重合は酸素フリー下で行います。まず遷移金属塩を脱酸素し、次に溶液にモノマーと開始剤を加えてから脱酸素します。その後、配位子を加えて重合を開始します。
- Cu(I)Br(0.131 g、9.1 x 10-4 mol、製品番号:212865)と乾燥した磁気撹拌子を、乾燥したシュレンク管(ないしは丸底フラスコ)に加えます。
- セプタムをつけて系を密閉し、窒素下での凍結-脱気-解凍による脱酸素を3回繰り返します。
- 窒素下でフラスコに以下の試薬を加えて重合溶液を調製します。
- キシレン(20 mL)
- スチレン(10 mL、8.73 x 10-2 mol、製品番号:S4972)
- 2-ブロモイソ酪酸エチル(0.13 mL、9.1 x 10-4 mol)
- このシュレンク管をさらに3回凍結-脱気-解凍を行い、一定速度で撹拌しながら110℃に加熱します。
- 反応温度に達した後にN-ペンチル2-ピリジルメタンイミン(0.28 mL、1.8 x 10-3 mol)を窒素下で加え(t = 0)、重合を開始します。
30~60分ごとに脱気したシリンジを用いてサンプリングしながら、GCないしはNMRにより転化率を、SECにより分子量とPDIを求めることができます。360分後に重合を停止すると、転化率は77.9%となり、Mn = 5,270 g mol-1(理論分子量:Mn = 7,900 g mol-1)、PDI = 1.29のポリスチレンが得られます。
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