はじめに
レムデシビルは広域スペクトル抗ウイルス剤で、通常は注射で投与されます。本剤は、2020年にWHOの連帯臨床試験を通じて、COVID-19の治療薬として試験されています。ここでは、レムデシビルと構造が類似な3つの抗ウイルス剤類に使用可能な、高速で頑健なHPLC-MS/MS法を紹介します。インジナビル、ネルフィナビル、サキナビルはプロテアーゼ阻害剤で、通常、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の治療に使用されます。
標的分析物の選択性を最大限に高めるため、開発プロセスを通じて、いくつかの異なる固定相をスクリーニングしました。その総合的な結果として、RP-Amideカラムで最も良い結果が得られましたが、C18、AQ-C18、Phenyl-Hexyl相でもレムデシビルに適した保持力とピーク形状が得られます。30 x 2.1 mmの短いAscentis® Express RP-Amide固定相をグラジエントモードで使用した場合、2分以内にすべての化合物を良好に保持し、完全に分離することができます。レムデシビル(1~250 ng/mL)のキャリブレーションデータは十分な直線性(R2 = 0.9995)を示し、検出限界(LOD)と定量限界(LOQ)はそれぞれ0.7と1.3 ng/mL(95%信頼区間)と判定されます。
図1.レムデシビル、C27H35N6O8P(CAS No. 1809249-37-3)
図2.ネルフィナビル、C32H45N3O4S(CAS No. 159989-64-7)
図4.サキナビル、C38H50N6O5(CAS No. 127779-20-8)
図3.インジナビル、C36H47N5O4(CAS No. 150378-17-9)
レムデシビルのキャリブレーションデータ(1~250 ng/mL)
図5.インジナビル、サキナビル、ネルフィナビル、レムデシビルの分離を示すクロマトグラム。レムデシビルおよび関連する3種抗ウイルス剤のベースライン分離を示すクロマトグラムの例
図6.1 ng/mLのレムデシビル標準溶液を注入した際のクロマトグラム。1 ng/mLの標準溶液を注入した際のLC-MSクロマトグラムの例
図7.レムデシビルの検量線データ(1~15 ng/mL)。低濃度のレムデシビルにおける検量線とその直線性
図8.レムデシビルの検量線データ(1~250 ng/mL)。検討した濃度範囲における検量線
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